アート

2023.05.13

「コミュニティがCEOを選ぶ時代」 Web3アクセラレーター0N1 FORCE

0N1 Forceチーム。左からアーティストのIMCMPLX、CEOスターロディー、NORI 0N1 Forceコミュニティが作った作品を背景に取材を行った

コミュニティの怒りというのはどのようなものだったのか?その当初を知っているNORIに聞いてみた。

NORI:状況を最初に見たとき正直驚きました。プロジェクトが実施するタウンホール(定期的なオンラインミーティング)に2022年2月に参加したのですが、新コミュニティ運営陣に対してみんな誹謗中傷をしながら批判をしていました。CEOが作ったGoogleDoc上のロードマップを上書きしていくような行為が起きてました。

コミュニティのみんなが怒っている理由はオニフォースはコミュニティファーストのプロジェクトである、ということを明確に打ち出していたのに、結果として「チームがコミュニティを大切にしていない」「ビジョンの欠如」「やる気のなさ」が露出してしまっていたからです。結構な金額のNFTをゲットしてコミュニティメンバーになったのに、結果、約束を破られるのであれば当然の結果です。

タウンホールを聞いて衝撃を受けたのですが、終了間際まで残っていました。西海岸時間での運営だったので、日本時間だと明け方になっていたのですが、私自身もオニフォースに関心があり、日本から何か絡むことが出来るのではないかと思い、コミュニティ運営をしていたスターロディーに日本人の自分も企画等に参加させてほしいと依頼しました。

22年2月以前の状況として、オニフォースやAzukiなど日本モチーフのNFTプロジェクトが多くあったのですが、全て創業者は日本以外の方でした。なんとかして世界と日本をつなげたいと思ったのが、スターロディーに声がけした背景にはあります。

ただ、正直、最初はどこまで日本のカルチャーを理解しているのか分からないなという風に思っていたが、話を聞いていくと自分よりもアニメやアートに詳しくて、日本のモチーフだから日本人がやるべき、という考えはIMCMPLXやスターロディーに会って消えていきました。日本の文化をリスペクトしてくれる仲間を尊敬しつつ、進めていこう、と切り替えて今の自分がいます。
0N1 Force日本代表NORI、コミュニティ代表のアーティストが作ったジャケットを背景に。

0N1 Force日本代表NORI、コミュニティ代表のアーティストが作ったジャケットを背景に。

Web3型アートプロジェクト:オニフォース

このコミュニティの怒りが起きたのが2021年秋なので、既に1年以上の前の話である。なのに、結果としてコミュニティは離れず、スターロディー率いる新生オニフォースが生まれたのはなぜなのか?

IMCMPLX:スターロディーのようなコミュニティを大切にする存在がCEOになったことで、コミュニティが「自分たちがCEO選出できた」と思ってくれているところが大きいと思います。以前のCEO創業者からの依頼でCEOになったのでいわゆるWeb2的な人事だったのですが、スターロディーはWeb3的な人事でした。また、私達自身もweb3のプロジェクトとして革新的なことを進めてきていることも、コミュニティから愛され続けられている理由かもしれません。

例えば、私達のプロジェクト自体Web3的に始まりました。Clubhouseで出会ったアーティストJRらとみんなバラバラの場所に居ながらプロジェクトを進めました。

他のNFTプロジェクトはもともと友達だったり、同僚だったり関係性があったり、出資を受けて軍資金がある状態で進めていましたが、我々は「オニフォース」というプロジェクトミッションのもと、世界各国から集まったメンバーが自分たちの時間を割くことにより進めていきました。Web3/分散型のNFTアートプロジェクトとしては初期事例と言っても良いのではないでしょうか?

また、今ではNFTプロジェクトの中では当たり前となっているアロウリスト(Allow List, AL。コミュニティに貢献した人に優先的にNFTを発行する)というシステムもオニフォースが最初に作ったと認識しています。みんなが一気にアクセスするとNFT交換するためのガス代が高くなるので、分散化させようという考えのもと生み出したシステムです。
0N1 Force アーティスト IMCMPLX(アイアムコンプレックス)

0N1 Force アーティスト IMCMPLX(アイアムコンプレックス)

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文=西村真里子

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