消費者への情報提示の義務化が急務
そんななか、4月9日、快晴に恵まれたリビエラ逗子マリーナにて、120名のZ世代を中心としたゲストを迎えて、「G-Oceanジェネレーション・オーシャン」というイベントが開催された。セイラーズフォーザシーと株式会社UMITO Partnersが主催したイベントだが、水産流通適正化法で義務化が進む漁獲証明書、つまりシーフードのトレーサビリティをいかに自分ごととして取り入れて、サステナビリティを応援して行くかを議論するものだった。
「G-Ocean(Generation Ocean)」とは、海の持続可能性を考えるZ世代を中心とする次世代を指す造語だが、イベントではその世代を代表する食文化研究家でタレントの長内あや愛さんが総合司会、モデルでタレントのトラウデン直美さんがパネルディスカッションのスピーカーの1人として名を連ねた。
2人とも慶応義塾大学卒業で議論は得意分野とあって、この両名のパワフルな参加を得て、リビエラ逗子マリーナの会場は大きな盛り上がりをみせた。
第一部のパネルディスカッションでは、トラウデン直美さんに加えて、漁業者を代表して臼福本店の臼井壯太朗社長や、月日貝(つきひがい)のブランド化に取り組む佐々祐一氏、笹川平和財団研究員で農学博士(東京大学)の田中元氏が参加。オーディエンスの人たちと最新の現場の状況を共有した。
続くスペシャルセッションでは、東京大学教授で私塾「すずかんゼミ」でおなじみの鈴木寛氏と笹川平和財団理事長で政策研究大学院大学・学長特別補佐の角南篤氏が初めて顔を合わせ、圧巻のドリームセッションを展開した。両セッションではZ世代が身を乗り出して聴き入っている姿は、未来への希望を象徴する光景に映った。
その後、聴衆も参加してのテーブルディスカッションも行われ、白熱した議論の結果を各テーブルの代表者が発表した。前向きな提案が多く発表されるなか、特に目立ったのは「本当のことを知りたい。情報が欲しい」という意見だった。
いままで一部のメディアで伝えられる情報を頼りにせざるを得なかったが、今後は漁業者、サプライチェーン、政治家、水産庁、そしてNGOも含めたあらゆるステークホルダーが忌憚のない情報提供をすることを、次世代の消費者は期待しているのである。