5. 顧客第一のリテールメディア構築
小売企業は、ファーストパーティデータと顧客ロイヤルティデータを利用することで、リテールメディア(小売企業のデジタルおよび物理的なチャネルを利用して商品を紹介し、収益を上げる広告形態)におけるパーソナライズを高めることができます。リテールメディアの機能を拡張することで、利益率の高い広告ビジネスを収益源に加え、労働力不足やインフレ、サプライチェーンの問題によって配送費や物流コストが上昇する中、利益率の低下に対抗する革新的な方法を採用することができます。
そして、よりターゲットを絞ったリテールメディアを提供することで、広告主であるブランドは、より高い費用対効果(ROAS)を得ることができ、小売企業はより高い広告料金(CPM(インプレッション単価):1000回のインプレッション、視聴ごとに支払う単価)を設定することが可能になります。
・米国の小売企業Dollar TreeのFamily Dollarブランドは、2021年4月にSwiftlyと提携し、リテールメディア事業であるChesapeake Media Groupを立ち上げました。同事業では、CPGブランドがオンサイトおよびオフサイトのリテールメディアを活用し、ターゲット顧客にリーチすることができます。オンサイトのプラットフォームでは、ダイナミックな広告配置、スポンサードサーチ、商品推薦ツールなどを利用することができます。
・AmazonとWalmartは、2021年のグローバルでのリテールメディア売上をそれぞれ321億ドルと21億ドルと報告しており、同市場の大きさが浮き彫りになっています。
Coresight Researchでは、2022年の世界のリテールメディアの市場規模を、前年比80.1%増の751億ドルと推定しています。
WHAT WE THINK
オムニチャネルのシームレスなショッピング体験を提供することに焦点を当てた先進テクノロジーに絶えず投資している小売企業が、今後は勝者になる可能性が高いと考えます。また、消費者のプライバシーに関する法律が強化され、サードパーティのクッキーが徐々に廃止されていることから、小売企業はファーストパーティの顧客データを収集・管理する必要性がさらに高まっています。
パーソナライゼーションは売上を伸ばすために不可欠であり、食料品市場では競争が激化しているため、小売企業は顧客データと顧客との関係をコントロールするための取り組みを計画・実施する必要があるでしょう。
ブランドや小売企業にとっての意味合い
・小売企業は、顧客との相互接続された体験を提供するオムニチャネル戦略の導入に注力する必要があり、適切なテクノロジーソリューションは、こうした体験やサービスを促進するのに役立ちます。・小売企業は、エンドツーエンドのオペレーションを拡大し、顧客との関係やデータを管理する必要があります。
・小売企業は、ロイヤルティプログラムを活用してファーストパーティデータにアクセスし、買い物客の行動、嗜好、需要に関するインサイトを得る必要があります。
・食料品小売企業は、リテールメディア機能を構築し、収益の増加を図る必要があります。
テクノロジーベンダーにとっての意味合い
・テクノロジー・ソリューション・プロバイダーは、小売企業が買い物客へ本当の意味で統合したオムニチャネル体験を提供するために、食料品小売企業と協力して、エンドツーエンドのオペレーションを構築・管理することができます。※本稿は、リテールツール、モバイルプラットフォーム、分析ツール、リテールメディアネットワークを提供する、米国に拠点を置くリテールテクノロジー・ソリューションプロバイダーであるSwiftly社の協力のもと作成されています。
※この記事は、2023年3月にリリースされたRxR Innovation Initiativeからの転載です。