米国食料品Eコマースで成功するための5つの戦略
まず、図2に米国食料品小売市場における小売企業がとるべき5つの戦略を示し、以下、それぞれについて詳しく解説していきます。図2. 米国食料品Eコマースで成功するための5つの戦略
(図内の訳、「1.シームレスなオムニチャネル・ショッピング体験の提供」「2.顧客との関係を完全にコントロールし、ラストワンマイルの管理を自社で行う」「3.ファーストパーティ顧客データの収集と管理」「4.ファーストパーティデータの活用によるロイヤルティプログラムの最適化とパーソナライゼーションの推進」「5.顧客第一のリテールメディア構築」)
出典:Coresight Research
1. シームレスなオムニチャネル・ショッピング体験の提供
今日の消費者は、商品の購入や下調べ、買い物リストの作成、お得な商品の検索に複数のチャネルを利用しています。そして、オンラインとオフラインのチャネルを統合させた、デジタルを取り入れた店舗でのショッピング体験ができる、シームレスで便利なサービスを提供する小売企業に引き寄せられています。そのため、小売企業が今日の小売環境で成功するためには、店頭、モバイルアプリ、ウェブサイトなど、購入シーンに最も適したチャネルを消費者が選択できるような、摩擦のないオムニチャネル・ショッピング体験の提供が必要です。オムニチャネルのアプローチを取ることで、買い物のあらゆる場面で消費者とつながり、パーソナライズされた体験を提供することができます。
また、最終的に購買の決定が行われる場面において、消費者を惹きつけ、購入に結び付け、その結果、消費者の支出シェアを拡大することへとつなげることができるでしょう。ほとんどの食料品小売企業が薄利多売で経営しているため、これは極めて重要なポイントです。
Symphony RetailAIが2021年第1四半期に米国と欧州で購入された4億2100万件の購入履歴を対象に行った調査によると、オムニチャネル利用の買い物客は、店頭のみの買い物客よりも購入頻度が高く、支出額も最大で20%多くなっています。
小売企業はオムニチャネルアプローチの一環として、先進的なテクノロジーを活用した複数の店舗戦略を実施することで、競合他社に先んじることができます。
一例として、オンラインカタログに掲載されている商品が実店舗にない場合、その商品を購入し、宅配してもらうことができるエンドレスアイルソリューションなどがあります。
さらには、統合されたモバイルプラットフォームを持つことで、消費者へパーソナライズされたコンテンツ(商品のおすすめやプロモーションなど)を位置情報に基づいて提供し、真の意味で融合したオムニチャネル体験を提供し、顧客ロイヤルティを高めることができます。
食料品売り場の冷蔵庫に設置されたデジタルサイン
出典:Spectrio
また、これから競合他社に追いつき、より大きな市場シェアを獲得しようとする中小企業にとって、Swiftlyのようなサードパーティー・テクノロジープロバイダーとの提携は、オンラインと店舗での体験を統合し、消費者へ相互接続されたショッピング体験を提供する重要な機会となっています。
SwiftlyのCEOであるHenry Kim氏によると、小売企業が急速に統合され、消費者が値上げに悩まされ続ける中、小売企業はデジタル消費者との関係を強固にし、利益率の高い新しい収益源を構築するために今すぐ対策をとる必要があるといいます。
そして、AmazonとWalmartはイノベーションと先端テクノロジーの導入を通じて、小売企業に圧力をかけ続けていることを強調しました。