また、筆者は知人女性と話をしていたときに、別のアイデアを思いついた。彼女は、ギャップのジーンズは自分の体型に合わないので好きではないと話していた。ならば、店舗で無料のお直しサービスを提供するのもいいかもしれない。たしか、ニューヨークにある米高級百貨店Nordstrom(ノードストロム)のメンズ専門店では、ウィンドウで「お直しします」と宣伝していた。要するに、顧客の心を取り戻すためには、目新しい工夫が必要なのだ。
自社の未来をより明確に見極めようとしている企業は、他にもある。米百貨店チェーンのKohl’s(コールズ)もその1つだ。同社を率いる、経験豊かなトム・キングスベリーCEOは、コールズの「再活性化」に努めている。マーティンもキングスベリーも、店員のモチベーションを上げて、自社製品のすばらしさを誇りを持って売り込んでもらう必要があることを知っている。
長い目で見て成功を目指すときに、考慮すべき点がある。それは、取り扱い商品を決定する際に、ターゲット層を念頭に置き、彼らの好みに合った商品を開発することだ。RSR Researchの共同創業者で小売業界アナリストのポーラ・ローゼンブラムによれば、マーケティングで新商品が紹介されたり、違いが強調されたりすると、消費者の購買意欲は実際にかき立てられるという。
20年前からギャップの経営に携わってきたマーティン暫定CEOが、新たなビジョンを掲げることは難しそうだ。ギャップという組織について豊富な知識をもつのは有益なことだが、同社がいま必要としているのは、斬新な思考で新たなイメージを創案し、それを宣伝できる、若くて強気なリーダーだ。1969年創業のギャップブランドの焼き直しでは、懐古趣味にすぎず、十分ではない。
新しい時代はすでに到来している。ギャップが前進していくことを望みたい。
(forbes.com 原文)