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2023.05.09 08:45

進路の迷いを数値化で解決、これが噂の「仕事魔法陣」だ

Getty Images

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まだまだ終身雇用が日本の大企業ではみられる一方で、転職する人の数も増えている。

新卒の時の就職活動と同様、活動の進め方によっては、オファー(内定)を複数獲得することもありうる。複数の会社からオファーを得た場合、そしてそのどれもが魅力的な場合、どれも外せないくらい競っている場合、どうやって、一社を選ぶべきなのだろうか。

少なくとも数年先までの将来を左右する大きな決断になるため、オファーやオファーをもらった企業についてさまざまな方向から吟味することが必要だ。

待遇。企業のブランド。企業の将来性。仕事自体がやりたいことかどうか。キャリアの可能性が広がるかどうか。取り組むことによって自分の付加価値が高まるかどうか。成長できるかどうか、昇進しやすいかどうか。風通しの良さ、評価のシステム、一緒に働く人たち、将来の上司、切磋琢磨できる環境かどうか、試用期間の長さ、仕事の負荷の高さ、フレキシブルに働けるかどうか(場所や時間)、出張のあるなし、休みの取りやすさ……。

どれか一部にウェイトを置いて考える、という思考の整理の仕方もあるし、実際問題、全てを満たす仕事はないので、「どの価値が自分にとって一番大切なのか」という視点も大切だ。

オファーに関する項目を羅列し、それぞれを数字で評価

実は、適切な項目さえ設定すれば、淡々と入力するだけで自動的に「答え」をハジき出してくれる魔法(?)のチャートを使う人が日本でも増えているらしい。

外資系の企業に長年勤務してきた筆者は、一見数値化・データ化しづらいもの(例えばカスタマーエクスペリエンス、原稿の良し悪しなど)を数値化する業務を行ってきた。量に留まらず質を数値化する試みは、ビジネスの意思決定において有効に使える。

このたび、筆者の知人が外資系に転職することになり、どの企業のオファーを受けるべきかについて、相談を受けた。本稿では以下、筆者が、知人の意思決定を助ける手段として一緒に作ったチャートを引用することにより、バリューを数値化する方法を紹介する。

Yさんの場合

彼(仮にYさんとする)は転職活動を行って3社からほぼ同時期にオファーを得た。彼の相談に乗っていると、大切にしたいバリューが一分野ではなくさまざまな領域に点在していて、思考を組織立てて整理し、決断まで導いていくことが難しいようだった。

そこで、まず会社・仕事を選ぶ際に吟味する項目をリストアップ。それぞれを数値化して表にして比較してから、自分が大切にしている特定の項目について掘り下げて考えることにした。

項目の数値化とは、たとえば年収は10点満点でA社が8点、B社が7点、C社が10点、企業ブランドはA社が6点、B社が10点、C社が5点、といった具合になる。企業や仕事を評価する項目は、例えばオープンワークなど実際に企業に勤めた人の口コミが掲載されているサイトに行けば、「組織体制・企業文化」「働きがい・成長」「ワーク・ライフ・バランス」「女性の働きやすさ」「年収・給与」「企業分析」などの項目がある。

Yさんは外資系企業のオファーを確保したので、外国の類似レビューサイト、GlassdoorやBlindなどに使われている項目、「リモートワーク」「同僚」「企業文化」「ベネフィット」「キャリア開発」「シニアリーダーシップ」「マネジメント」「仕事の環境」「ダイバーシティ&インクルージョン」なども参考にした。

各社の項目を参考にしながら話し合った結果、Yさんと筆者は合計20個近くの項目を抽出。各項目について、Yさんの目線からまず10点満点で採点してもらった。
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文=高以良潤子 編集=石井節子

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