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2023.04.29 08:00

ChatGPTベースの暗号資産取引ツール「サトシ」が目指す未来

Getty Images

ヤルラガッダによると、暗号資産の合法的取引の90%は、10%のトレーダーによって行われており、その大半がアルゴリズムモデルを使用しているという。つまり、これらのトレーダーは大規模なリソースを持つ大企業で、専属のエンジニアチームが開発したツールを用いて、取引所間の価格差を利用す裁定取引(アービトラージ取引)やマーケットメイキングなどの「マーケットニュートラル戦略」と「数量的なロング/ショート戦略」の2つを駆使したトレードを行っている。
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PWCの暗号資産ヘッジファンドに関する2022年のレポートによると、この2つのアプローチは業界の約55%を占めているとされる。FalconXのサトシは、その残りの45%に含まれるベンチャーキャピタルやファミリーオフィス、個人トレーダーたちが、大手と互角に戦えるようにするためのツールだ。

サトシは、3つの方法でそれを実現する。その1つ目はメディアやSNS上のあらゆるニュースやデータを検証し、顧客の関心や保有資産に合わせたブリーフィングを提供することだ。そして「過去24時間の私のポートフォリオはどうだったのか」「特定の資産について投稿するソーシャルメディアの3大インフルエンサーは誰か、彼らは何を言っているのか」といった質問に回答する。

2つ目は「ビットコインで1000ドルのショートポジションを持つにはいくらかかるか?」「コストを抑えつつ500万ドル相当のイーサを購入するための最適な戦略は?」といった質問の答えを導くことだ。最後に、サトシは最終的にプラットフォームに売買ボタンを組み込んで、ユーザーがそれらの戦略をすぐに実行できるようにする予定という。
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これらの計画の多くはまだ、実現されていない。サトシはテスト段階であり、取引所のオーダーブックなどの必要なプラットフォームと統合されておらず、プロユーザーが必要とする取引チャートを作成できない。

しかし、大惨事につながりかねない盲点と言えるのが、取引相手のレバレッジのレベルや支払い能力を評価できないことだろう。昨年発生したBlockFiやThree Arrows Capital、FTXといった大手のプレイヤーの破綻から得た重要な教訓は、その多くが互いに負債を抱え、多額のレバレッジをかけていたことだった。

さらに、このテクノロジーには「幻覚」と呼ばれる欠陥があり、間違った答えを淡々と、しかも納得のいくかたちで提供する場合があるため、それを信じ込んだトレーダーが莫大な被害を被ることも想定できる。

「私たちは特殊なユースケースに特化しているため、今後1年間の目標は分散を10倍に減らすことだ」ととヤルラガッダはいう。しかし、サトシは非常に斬新なプロダクトであるが故に、まだエラー率すらも把握できないという。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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