厳しい時代だからこそ、毎日何十通もの履歴書を提出する人がいるのも当然だ。応募すればするほど、面接を受けるチャンスが増えるという、数で稼ぐゲームだと感じているようだ。
求職者の苦境を浮き彫りにする一例として、最近ティックトッカーのピーター(@petersbrainfolds)が、『TikTok(ティックトック)』上で、2022年7月27日以降に応募した557件の仕事に対する彼のもどかしさを吐露した。「専門分野内と専門分野外、両方の求人に応募しました。大企業、小企業を問わずです。採用担当者に履歴書を見てもらい、手直ししてもらい、採用システムを突破する方法を教えてもらったこともあります」と、ピーターはティックトックで語っている。「4分の3以上は反応すらありませんね」。
さらに、Google(グーグル)のような有名企業での採用プロセスは、非常に競争率が高い。実際、毎年200万人以上がグーグルでの仕事を求めて応募している。MentorCruise(メンタークルーズ)によれば、グーグルで採用されるのは、ハーバード大学に入学するよりも26倍難しいとされている。
困るのは、履歴書が雪崩のように押し寄せることで、リクルーター、人事、企業内人材獲得、採用担当者がそれらすべてに十分に目を通すことはほぼ不可能であるということだ。その結果、候補者の不満や怒りが爆発し、リクルーターや企業が就活生を無視しているとして、無慈悲で失礼だと罵倒することになる。
求職者がやるべきこと
キャリアコーチでリーダーシップ開発コンサルタントのテレンス・シーモンは、求職者に「SMART」戦略を使うようアドバイスしている。すなわち「戦略的で、記憶に残り、積極的で、関連性があり、提出前に履歴書に手を加える」(strategic, memorable, active, relating, and tweak the résumé)戦略だ。シーモンは、履歴書を大量にばら撒いて目に留まるよう祈るのではなく、働きたいと思う企業を狙い定め、「精密攻撃」と呼ぶアプローチを取ることを提案している。つまり、希望する役割に焦点を当て、効果的にアプローチすることで、求職活動を成功させることができるという考え方だ。
履歴書のフォントの派手さは気にしないこと。その代わり、その文書が職務内容説明書の必要条件と明確に一致していることを確認して欲しい。コアとなる履歴書に加え、特定の求人要件に合わせて、提出書類ごとにカスタマイズしよう。
LinkedIn(リンクトイン)プロフィールを持つことは、単なる基本条件だ。シーモンは、採用担当者や人事、潜在的な採用マネージャーに気づかれるために、ソーシャルメディアプラットフォーム上で自分自身を積極的にアピールする必要があるとアドバイスしている。自分のネットワークを調べて、ターゲット企業とのつながりを持つ人がいないか探し、推薦をもらったり、列の前方に進む手助けをしてもらうようにとの提案だ。
ほとんどの企業は、履歴書が毎日大量に寄せられるため、応募者追跡システムを利用している。役割や業界に関連するキーワードを使用することで、注目を集める可能性が高まる。
Indeed(インディード)によれば、求職者は毎週10~15の異なる求人に応募すべきだとされている。同じ企業に5つ以上の求人に応募するのは避けるべきだ、なぜなら企業はそれを見て、単に絶望的な状況から履歴書を無差別に送りつけているだけで、実際には企業や応募した求人に関心がないと感じるからだ。