ビジネス

2023.04.14 08:40

熱量のあるオウンドメディアが「ヘルシーな社会」のエンジンになる

「採用に関しても、これだけ従業員がイキイキしている様子をnoteの記事で読めるとなると好感を持たれますし、働くイメージもリアルに湧くので、ミスマッチも防げます。中には『○○さんの記事を読んで興味を持ちました!』という声もあり、実際に採用後、その応募者と記事に出ていた社員と私の3人で飲みに行ったこともあります」

このように社会や人、企業の距離の近さをデザインすることは、オウンドメディアが果たす役割の中でも大きな魅力であろう。平山氏は「インターネットはフィジカルなもの」だと捉えているという。

「個人が気軽に発信してつながることができるのがインターネットなので、雑誌やマスメディアと比べると距離が近いという側面があります。距離が近いがゆえに熱量は伝播しやすいですし、やっぱり伝播させなきゃいけない、というのが僕の考え方です」

KIRIN公式noteでは、制作に携わったライター、カメラマン、制作会社の紹介ページなども用意されている。また記事の書き手も、学生から素人まで門戸を広げ、自分たちとお客さまだけではなく、関わっている人々すべての顔が見え、そこから繋がりを生み、自然な形で広がっていくエコシステムを作り上げている。

「同じ価値観を共有する人と人とが手を繋ぎ、その輪が同心円状に広がっていく。どこかあたたかく、そして美しい広がりをいつもイメージしています」

「#わたしとキリン」など、社員の想いや活動を描くコンテンツは、note内でも特に人気が高い。再現性の高い手法として注目。

「#わたしとキリン」など、社員の想いや活動を描くコンテンツは、note内でも特に人気が高い。再現性の高い手法として注目。


テクノロジーによって単純作業が効率化され、人がよりクリエイティビティを発揮できるようになるとされる未来。その世界で人の営みのユニークネスは、今まで以上に価値を持つ。その際、人にフォーカスしたオウンドメディアは、企業の人格を築き上げる骨子として重要視され、また人のエンパワーメントという意味でも期待されるだろう。

「会社の中にオウンドメディアが当たり前にあると、やっぱり社内の交流も盛んですし、お客様とのコミュニケーションもより密度が高いので、とても風通しが良く、いい空気感が醸成されます。それを目指していければ、働く人もお客さんも、みんながハッピーになることも夢ではないと思っていて。

社員の自由闊達な発想に目をつけ、その神輿を皆でかつぎ、大きなボトムアップ型のうねりを生み出す。それにより強固な企業文化を創り上げ、手を取り合って未来を切り拓いていく。まるで“祭”のように賑やかで楽しい風情を、人と企業が一体となって実現する社会は、とてもサステナブルでヘルシーだと思います」


平山高敏◎キリンホールディングス コーポレートコミュニケーション部。中央大学 法学部卒業後、インターネット広告代理店を経て、昭文社へ入社。ことりっぷのWeb事業全般を統括。2018年にキリンホールディングスに入社。第10回Webグランプリ「Web人大賞」を受賞。

ForbesBrandVoice

人気記事