次の日も同じようなことがあったんです。自分の世話をしてくれる人に洗濯物をここに出していいのかって聞いたら、「お前、昨日からいろんなことを聞いてくるけど、お前の聞いてくることの9割はやればわかることだよ」って。
あ、これは昨日と同じだと思って。その時、とりあえず会社を辞めようと思ったんです。自分のやりたいことが決まっているのに、言い訳ばかりして踏み出していないことに気づいたんです。
中道:それからコーチになられて、どうでしたか? アメリカンフットボールのコーチって、常にチームにインスピレーションを与えなければいけないんだろうなと、勝手に思っているんですけど。
河田:そうですね。コーチは、自分なりのリーダーシップを持っていて、それでみんなを引っ張っていく。それでもし結果が出なければ辞める。そういう人たちです。
実は、昨年11月末に、16シーズン連れ添ったボスが辞職しました。アメフトの場合、トップが辞職したりクビになったりすると、僕らも全員職を失うんです。幸い、次のコーチにリテインしていただいたんですけど、今後どうなるかわかりません。
中道:前のボスはリタイアされたんですか。
河田:これがまた、プロチームのインタビューをいくつか受けているようなんです。
中道:いいじゃないですか。みんなセットで動きますもんね。
河田:そうなんです。大学スポーツのマネジメント組織が決めているのは、ヘッドコーチと10人のアシスタントで、その10人に入った瞬間、スタンフォードで言うと年収3000万円と家がつくんです。僕らはその10人の下なので、たいした給料はもらっていません。
なので、その10人のポジションを狙っているわけです。でも、まだボスが職を得たわけではないので、捕らぬ狸のなんとやらなんですけどね。
中道:夢のあるお話ですね。次回はこれからの話や教育について、もう少しお話したいと思います。