スポーツ

2023.04.15 08:30

「9割はやればわかること」渡米して気づいた日本人の弱点

鈴木 奈央
河田:リクルート時代は、土日練習をして、普通にサラリーマンをする二足の草鞋でした。リクルートでは、トップオブトップに行く人は1%を切るんです。だからいい路線に乗れないと、みんなどんどん辞めます。僕もリクルートで上っていくのは無理だろう、だったらやりたいことをやろうと思ったんですけど、日本の転職市場って選択肢がなさすぎるんですよね。

1月25日発売の「Forbes JAPAN」に、日米の教育について寄稿しました。どうしてアメリカの大学には入試がいないのか。日本の入試は、記憶力を一発で試すためのものですよね。

中道:日本はどちらかというと大学のための入試、みたいな感じでしょうか。

河田:そうですよね。僕は仕事をしながらアメリカの大学院でスポーツとビジネスのマスターをとったんですが、アメリカは学生のための大学なんですよ。それに、我が国では労働市場とスポーツは大戦前と何も変わっていない。特に体育は軍隊の延長です。

同志社大学の学生4人がレイプ事件を起こしましたが、彼らが犯罪者かどうかは、裁判で結審するまでわかりません。でも、日本のメディアは容疑者の段階であるにもかかわらずどんどん取り上げる。すると大学が“連帯責任”で、試合出場を取りやめた。

連帯責任なんてまさに軍隊ですよ。もちろん被害者がいるので配慮しなければいけませんが、まだ容疑者の段階で、4人だけでなく、チームメイトの150人がアメフト部として責任を負う。こういうことはいい加減やめた方がいい。

これは、見方を変えれば、アメフト部、もしくは大学が、組織的に指導したために起きたことであると責任を認めるようなものです。もしこれがアメリカだったら、責任は事件を起こした学生の親にある。学校やチームは関係ありません。

日本の教育とスポーツは、旧石器時代のようです。僕なりの詳しい分析は「Forbes JAPAN」の連載に書きますので、ぜひ読んでください。

中道:2007年にアメリカに行かれた時は、仕事が決まっていたわけではなかったんですか。

河田:NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)にNFLヨーロッパというリーグがありまして、そこのインターンに行くことにしたんです。12月ぐらいに「2月のフロリダのキャンプに行きたいのでよろしく」とコーチに連絡したんですけど、ある時を境に一向に連絡が返ってこなくなりました。

「ある時」とは、彼らがキャンプの準備に入った時期だったんす。アメリカ人は優先順位が低いことには反応してこないんですよね。彼らにとってインターンを受け入れることなんて優先順位で言うとかなり低いわけです。
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文=久野照美 編集=鈴木奈央

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