マーケティング

2023.04.07 09:00

「共感」で一点突破 持続可能なビジネスを展開する秘訣

パーパスへの共感を目指すカスタマージャーニー

マーケティング戦略においては、購入や問い合わせを成果(コンバージョン)とするのが一般的だ。戦略を立てる際に役立つのが、カスタマージャーニーである。見込み(潜在)顧客が顧客へと育っていく過程を表す概念だ。当然、最終的には購入や問い合わせ獲得を目指す。リスクもある。数字ばかりに目が行き、顧客の顔が見えなくなる。結果、ビジネスのパーパスを見失ってしまう可能性が高い。

マーケティングZENにおいては、パーパスに共感してもらうことを目指す。購入ではなく、パーパスへの共感を成果とする。

アウトドアブランドのパタゴニアは、「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む。」を理念に掲げる。「2025年までにカーボンニュートラルになる」などの具体的な目標を掲げており、行動に落としこんでいる。理念がパフォーマンスでないことは明白だ。理念に共感した顧客は、パタゴニア製品を購入し、身につける。
アパレルブランド「PANGAIA(パンゲア)」(同ブランドウェブサイトより)

アパレルブランド「PANGAIA(パンゲア)」(同ブランドウェブサイトより)


アパレルブランド「PANGAIA(パンゲア)」は、単なるアパレルブランドではない。ブランド名に含まれるGAIA(ガイア、母なる大地の意)が示唆するように、環境問題の解決を目指す企業だ。

科学者や技術者が手を取り合って持続可能な素材を開発。インターネット広告に「サイエンス。パーパス。デザイン」のコピーを採用しており、サステナビリティーを標榜する他のアパレルブランドとは一線を画す。

欧米では絶大な人気を誇っており、リリースから15分で完売するアイテムもある。消費者は、ミーハーな気持ちで購入しているのではない。パンゲアのパーパスに共感した結果、顧客となったのだ。

これら2つの企業が発信する情報を見ると、どうやって環境問題を解決できるのか、という点にフォーカスしたものが目立つ。購入を促すのではなく、パーパスを可視化している。もちろん、売り上げも安定経営のために必要だ。しかし、優先してパーパスに共感してもらおうという姿勢に好感が持てる。

購入から、パーパスの共感へ。今こそ成果指標を見直したい。


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文=田中森士

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