資本政策=仲間集め
──べンチャーキャピタルとの付き合い方で意識されたことは何でしょうか。エクイティでの資金調達はよく「体の一部を渡す」と例えられますが、スタートアップにとっては本当にそれくらい重要であり、かつ後戻りができないイベントです。
なので私は資金調達を仲間集めの一つだととらえています。
私たちのサービスに共感いただくのはお客様、事業や働きがいに共感いただくのは働いてるメンバーや従業員。そのなかで、投資家は会社の中長期的な事業価値、成長性に共感いただいている方々です。
採用と同じくらい、いかにカルチャーフィットするか、中長期的な考え方が合う方かどうか、お話しするなかで意識しながら投資家選びをしました。
──エクイティファイナンスをすると意思決定したポイントがなにかあったのでしょうか。
2つあります。
1つめは、前職で1000人の社長と話していた当時から、会社を所有するのではなく、パブリックカンパニーとして社会の公器に育てて続けていく、というものに憧れを抱いていました。会社を大きくさせていくのであれば、どんな形であれイグジットを目指すことが必須条件でした。
2つめは、タイミング的に受託モデルからプロダクトモデルでスケールが目指せそうだったこと。ステークホルダに損をさせずに事業を伸ばすことができそうだと思えたタイミングだったので、アクセルを踏むことを決断できました。
とはいえ、後戻りができない決断であることはわかっていたので躊躇もありました。最後の決め手になったのはエンジェル投資家の方々に「20代で一回失敗しても、人生長いんだからやり直しがきく、やってみたらいい」という一声に押してもらったこと。
投資家として良い仲間に出会えたことが、決断の決め手になったという側面はあります。
──まさに仲間として、投資家に後押しされたのですね。
そうですね。
株に関しての考え方って、世代やスタイルによって異なると思います。「株式比率は何%以上ないとダメだ」という人もいれば「スケール&スピード重視でどんどん調達」という人もいる。
そのなかで「失敗してもまた次がある」とか、「一生社長をやるのではなく、どんどん新しいことにチャレンジする」という先輩起業家の考え方に触れたからこそ、今の私があります。
答えはさまざまで良いと思いますが、これも第一話で話した「コンフォートゾーンから離れる」ことで至った自分なりの結論だったのかなと思います。