アジア

2023.03.27 08:15

クレディ・スイスショックで中国のGDP5%成長目標を厳しく

クレディ・スイスショックはいまだに金融システムに残響を残している(Getty Images)

クレディ・スイスショックはいまだに金融システムに残響を残している(Getty Images)

アジアの政策立案者の心には、2008年の「リーマンショック」のトラウマがまだ強く残されている。今回のクレディ・スイスのつまずきが、関係者に即座に15年前の出来事を思い出させたことにも現れている。

幸いなことに、今のところ「クレディ・スイスショック」は、リーマンショックよりはるかに小さい。リーマン・ブラザーズとは異なり、スイスの巨大企業クレディ・スイスはUBSによって救済されたからだ。

だが、その強引な金融婚がうまくいくかどうかは、誰にもわからない。しかし、米国のシリコンバレー銀行(SVB)の危機に続いたクレディ・スイスの問題を受けて、エコノミストはこの地域の成長見通しを下方修正した。

中国も例外ではない。欧米からの逆風により、北京の国内総生産(GDP)5%という目標は、ますます達成不可能なものになりつつある。

そもそも、アジア人の多くがSVBやニューヨークに拠点を置くシグネチャー・バンクを耳にする前から、中国は新型コロナウイルス感染症の時代から立ち直るのが予想以上に難しいと思われていた。小売の売上高が1-2月期で3.5%増加したのは立派だが、爆発的な回復ではない。

いまや、金利上昇の影響を受け、外部セクターは暗転している。たとえば米国では、1990年代半ば以来最も積極的な連邦準備理事会による引き締めサイクルが住宅セクターを直撃している。過去40年間で最悪のインフレと利回りの上昇が重なり、やがて経済に対する最大の圧迫となることは間違いない。

SVBの崩壊は、新たな金融混乱のリスクが水面下で悪化していることを示唆している。このような動きは、2023年が進むにつれて企業や家計の自信に悪影響を与える。

欧州は、景気後退のリスク、インフレ率の上昇、債券市場の動揺など、さまざまな固有の問題を抱えている。そして今、新たな金融不安のリスクが地域経済を覆っている。

クレディ・スイスは運が良かった。UBSの手による救済により、クレディ・スイスは2023年版ベア・スターンズとなれたからだ。2008年にベア・スターンズの資産が暴落した際、JPモルガン・チェースがウォール街の象徴であるベア・スターンズの買収に乗り出した。2023年にJPモルガンの役割を担ったのはUBSだった。

ただ、クレディ・スイスが氷山の一角なのかどうかはまだわからない。2008年にウォールストリートは、ベアー・スターンズの件で早々と祝杯をあげたが、もちろんその後、巨大な国際グループのリーマンの破綻が続いた。


中国人民銀行は先週(中国時間3月17日)、金融機関の預金準備率を25ベーシスポイント(0.25%)引き下げ、市場を驚かせた(Getty Images)中国人民銀行は先週(中国時間3月17日)、金融機関の預金準備率を25ベーシスポイント(0.25%)引き下げ、市場を驚かせた(Getty Images)
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翻訳=酒匂寛

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