中国民生銀行のエコノミスト、ウェン・ビンは「(現在)海外銀行部門のリスクが高まり、世界の流動性が圧迫されていて、外部環境はますます複雑化しています」と述べている。「1〜2月の中国主要経済指標には明るい傾向が見られましたが、全体的な回復基盤はまだしっかりしていません」
このようなリスクは、先週、中国人民銀行が金融機関の預金準備率を25ベーシスポイント(0.25%)引き下げ、市場を驚かせたことの説明になる。この措置は、市場に「政策立案者は私たちが知らない何かを知っている」という期待を注入した。
市場の混乱にもかかわらず、FRBがこっそり次の引き締めを実施できると考えたことは、米国の中央銀行に否定的な雰囲気が漂っていることを示唆している。この最後のFRBの利上げがどれほどのダメージを与えるのかを、世界が本当に知ることができるのは、6カ月から12カ月後となるだろう。
1994年から1995年にかけてのFRBの引き締めサイクルは、1997年のアジアの金融危機を引き起こした。時間の経過にともない、バンコク、ジャカルタ、ソウルなどでは、ドルに対する通貨ペッグの維持が不可能になった。
2023年にも同じことが起こるのだろうか? 時間が経たなければわからない。しかし、中央銀行が1997年式の過剰な引き締めを行い、アジアを緊張させ続けるリスクは高まっている。
大きな心配は、世界的な出来事によって、アジアに対する2023年の期待が狂ってしまうことだ。中国人民銀行の威力は相当なものだ。しかし、世界第二の経済大国をCOVID以前の栄光へと押し戻すには十分とは言えない。
現段階では、中国は経済を再構築するための困難な課題に直面している。クレディ・スイスによる混乱が、大きな障害として立ち塞がっている。世界中の経済学者が、次に世界市場でつまずくのは何処かに注目しているのも事実だ。だが、中国には経済成長を回復させ、より活気のある国へと導くための方法はたくさんある。
しかし、クレディ・スイスのトラウマは、中国の5%成長という目標が、見た目以上に世界的な出来事によって左右されることを思い起こさせる。そして、2023年に市場を襲った無数のリスクは、中国の復活が言うは易く行うは難しであることを意味している。
(forbes.com 原文)