まず、民営化による国営企業の整理だ。こうしたソビエト時代の計画経済の遺物は、財政的な無駄遣いや非効率な事業を助長するものとして長い間指摘されてきたが、簡単には排除できないでいる。カザフスタンが石油輸出に依存していることや、民営化が間違った方向に進んでオリガルヒに有利に作用してしまう恐れもあることから、抜本的な経済の自由化は難しく、議論を呼んでいるのだ。
同国では国営企業の完全な解体は当分実現しないだろうが、石油・天然ガス複合企業のカズムナイガスや原子力企業のカズアトムプロムをはじめとするエネルギー大手が株式公開を続けることは予想される。また、国営アスタナ航空は来年、新規株式公開をする予定で、すでに民営化を発表。国営カザフスタン鉄道も来年から再来年に向けて民営化を計画している。
次に、カザフスタンはロシアへの経済的な依存からの脱却を、徐々にではあるが加速させることが予想される。世界で最も長い国境線でロシアと接しているカザフスタンは、たとえ欧米の制裁に従い、密輸に対する取り組みを強化したとしても、常にロシアと交易せざるを得ない経済的現実がある。
こうしたロシアへの貿易依存度を下げる試みが成功するかどうかは、アゼルバイジャンやジョージアを経由して西側に天然ガスを輸送するためのカスピ海横断パイプライン計画がカザフスタンまで拡張され、同国がロシアに貿易を牛耳られないようになるかどうかに懸かっている。その意味で、最近提案されたカスピ海への石油パイプラインの建設は、正しい前進と言えるだろう。このパイプラインが実現すれば、カザフ産の石油はアゼルバイジャン、ジョージア、トルコを経由して地中海方面に、またはジョージアの港を通して黒海方面に輸出されることになる。
最後に、経済の多角化だ。これは一夜にして実現するものではなく、エネルギー輸出に大きな変化をもたらすものでもない。だが、中道派の支持層が掲げる電子化やガス化、農地改革、自由化といった課題に取り組むに当たって、資本財や精密機器の輸入が増加する可能性もある。
開かれた市民社会に対する普遍的な熱意は、カザフスタンが真の民主主義を構築するために必要ではあるが、十分ではない。しかし、インドネシア、韓国、マレーシア、台湾、シンガポールといった他のアジア諸国はそれを達成している。エネルギー資源と民主主義の相互作用に関心があるのなら、カザフスタンの国づくりが成功するよう応援すべきなのだ。
(forbes.com 原文)