中村博士は、社会通念から逸脱することが、自身のキャリア(および雇用主の成功の可能性)を高めるチャンスだと考えたのだ。大勢に従っていては、自身(または会社)の名を上げるのは難しい。集団の先頭付近にいない場合はなおさらだ。
オンラインテスト「What Motivates You?(あなたの動機は何ですか)」では、25%近い人が「安全・安心」に突き動かされることがわかった。こうした人々は概して変化を嫌い、継続性、一貫性、予測可能性を好む。対照的に「冒険」を原動力とし、リスク、変化、不確実性に意欲を刺激されて新しいことを誰より先に行う機会に飛びつく人は、わずか8%だった。もっとも、これは一般的な労働者の話であり、上級管理職は冒険が動機となる可能性が2倍以上高くなる。経営者として成功するには確立された道を歩めばよいが、偉大なリーダーになる(あるいは、ノーベル賞を受賞する)には、往々にして、人のあまり通らない道を進む必要がある。
教訓3:自分のアイデアを(他の人がやる前に)耐圧試験にかけよ
カナダ・アルバータ大学医歯学部のウイルス学者で李嘉誠応用ウイルス学研究所の所長を務めるマイケル・ホートン博士は、C型肝炎ウイルス(HCV)の発見でノーベル賞を受賞した。受賞につながった論文を科学誌『Science(サイエンス)』に発表する前年に、ホートン博士はメンバー6人の検討委員会を立ち上げ、公表前の論文の疑義検討を行った。「専門家による検討委員会を立ち上げたとき、メンバー全員がウイルスの発見を確信していなかったことに驚いた」と博士は述べている。
自分のすばらしさを認めていない相手に意見を聞くのは、勇気がいる。ほとんどの人は建設的なフィードバックよりも、肯定的なフィードバックを聞きたいと思うものだ。実際、リーダーシップIQによるリーダーシップ開発に関する調査では、リーダーが改善に向けた提案を常に奨励し認めてくれると答えた従業員は27%だけだった。
しかし、リーダーシップの本質は、居心地の良さではなく、たとえ厳しい批判を受けてでも最善の解決策を導き出すことだ。「Why CEOs Get Fired(なぜ最高経営責任者は解雇されるのか)」という調査では、CEOが失職した理由の上位5件に、自社製品・会社に関する悪い知らせを受け止め損ねたことが含まれていた。優れたリーダーは、甘い考えに基づいた計画や間違った計画を進めるよりも、悪いニュースを直接聞くほうがはるかに良いことを理解している。
(forbes.com 原文)