9万種以上の肌色を検出、「動く顔」認識技術
パーフェクト社の強みは、独自の「動く顔」認識技術にある。200もの顔の特徴をリアルタイムで識別し、立体的な画像を作成する。つまり、ユーザーが首をかしげたりしても、メイクが顔から消えることはない。この技術は9万種以上の肌色を検出することができ、データベースには50万以上の製品が登録されている。ツヤあり、マットなど、異なる質感の表示も可能だ。今のところ、バーチャルメイクの技術分野では、パーフェクト社は1人勝ちに近い。競合といってよい企業は、2018年にロレアルに買収された「ModiFace」だ。Ulta Beautyも「GlamLab」という同様のツールを独自に開発しているが、やや原始的な印象を受ける。
法的な問題も?
パーフェクト社の技術は多くの人の顔にアクセスすることができるため、同社は時折、プライバシーに関する法的な問題に直面している。同社がユーザーの生体データを同意なしに収集しているとして、複数の訴訟が起こされている。パーフェクト社としては、個人情報の保護に万全を期しており、第三者に販売したことはないと断言している。
アナリストの中には、同社の経済的な問題を予測する人もいる。景気後退の可能性があるため、同社の顧客は技術にお金を使うことを拒むかもしれない。
経済情勢やオンライン商取引のブームの沈静化、ユーザーの購買力の低下により、同社の成長が鈍化することを投資家が恐れている。そのため、同社の株式はより売りにくくなっているという。
パーフェクト社の株式は上場以来、その価値のおよそ3分の1が失われた。
経済情勢が悪化しているにもかかわらず、同社は2024年に売上高が1億ドルに達することを予測した。同社は、クライアント企業が新しいブランドにこの技術を使うことで、売上が伸びることを期待している。
また、パーフェクト社は、独立している小規模な美容ブランドを顧客基盤に取り込みたいと考えている。
美容分野を飛び出して──
また、同社は美容以外の他の業界への進出も検討している。例えば、形成外科医や歯科医を巻き込んで、施術後の姿を顧客に見せるというアイデアだ。鼻の手術やフェイスリフト、唇の整形などの結果を見れば、顧客はその手術に同意し、自分の希望をよりうまく説明できるようになるだろう。
さらに同社は、指輪やブレスレット、時計、ネックレスといったジュエリー業界への参入を発表した。ジュエリーはモデルで見るのと、バーチャルとはいえ実際に身につけてみるのとでは、まったく違う。
チェンは、ひとは、購入したものが自分にどう似合うかを確認することで、より購買意欲を高めると信じている。したがって、同社のこのような技術は、オンライン商取引の常識になると確信しているという。