国内

2023.03.24

「ねこの寿命30歳」を目指す 病気検知トイレのこだわりと進化

提供=トレッタキャッツ

腎臓病は、飼い猫の死因のトップに挙げられる病気だ。15歳以上の猫は81%が慢性腎不全だといわれている。初期段階では症状が伴わないことが多く、早期発見が難しい。
 
この事実に着目し、開発されたサービスが伸びている。2015年に創業したトレッタキャッツが開発・提供している猫用のスマートトイレ「Toletta(トレッタ)」だ。

365日自動で猫の尿データなどから健康チェックができるサービスで、2019年にサービスがローンチされて以降、順調にユーザーを伸ばし、現在は2万匹の猫が「トレッタ」を利用しているという。
 
2022年9月には、ペットケア業界の中でも特に革新的なサービスに贈られる「Pet Innovation Awards」で、「Litter Box(猫用トイレ)Product of the Year」を受賞した。

同社は「目指せ。ねこの寿命30歳」を掲げており、2022年3月にサービス内容を拡充。猫の体調結果を踏まえた獣医師からのメッセージ送信、病気や対処方法の正しい知識を調べることができる猫の病気辞典など、トイレ記録サービスから総合的な猫の健康管理サービスへと進化をしている。

“猫ファースト”なサービスを作り続ける秘訣を、代表の堀宏治(ほり・こうじ)に聞いた。


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2万匹の猫が利用中のスマートトイレ「トレッタ」

まずはサービスを詳しく説明しよう。トレッタは、猫が入ると重量センサーが感知し、尿量や、体重、トイレの入室回数、滞在時間など、健康に関わる指標を計測してアプリに自動で記録する。

計測したデータや食事の記録をもとに、獣医師と共同開発したAIが猫の健康をチェック。異常があれば飼い主に腎不全を含めた病気の可能性を示し、動物病院への受診をすすめる仕組みだ。

トイレのカメラには複数の猫の顔を識別できる技術が搭載されているため、多頭飼いにも対応可能だ。またカメラはネット接続されており、飼い主は外出先からでも猫の様子を見ることができる。
 
顧客からも「愛猫と暮らす上で欠かせないサービス」と評価され、月間解約率は1.5%程度。平均解約率が3〜10%と言われているSaaS業界では実現するのが簡単ではない数字だ。
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文=小野瀬わかな 編集=露原直人

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