国内

2023.03.24

「ねこの寿命30歳」を目指す 病気検知トイレのこだわりと進化

提供=トレッタキャッツ

「この意思決定は本当に猫にとって優しいのかどうか、という視点は常に意識していたいですが、利益が出ないものは、企業活動ができなくなってしまう。企業活動ができなければ猫を幸せにするためのサービス提供もできなくなりますから、両方成立していないとGOは出せません」
 
この2つの軸を追求した結果、泣く泣く販売を中止した製品もあるという。
 
「猫砂を自社で作っていたのですが、尿が猫砂を通過する際に、尿のpH値が変わってしまうことが分かったんです。これは尿が他のものに触れることによって化学反応を起こしているからです。とはいえ、実は多くの猫砂商品も化学反応を防ぐことはできていないですし、猫の体に害があるわけでもありません。
 
でも、獣医から尿検査の結果が正しく出ない可能性があると指摘され、その点がどうしても引っかかってしまった。
 
苦渋の決断でしたが結果的に販売を中止し、今、尿の成分が変わらないものを開発中です。開発はやっぱり大変ですが(笑)、目処はついてきたので春にはリリースできると思います」

今後はがん検知も

トレッタキャッツは、2020年の秋から米国にも進出している。世界展開も進めるなか、堀はすでに次の課題解決を見据えている。
 
「猫の死って、圧倒的にがんと慢性腎不全が多いんです。現在の我々のサービスは、慢性腎不全に対しては非常に効果的なサービスだという自負があります。それは早期発見が可能であり、早期発見が可能であれば対処も素早くできるからです。一方、がんに対してはまだ解決できていないので、そちらにも取り組みたいという想いがあります」
 
最近では、尿からがんを発見できるような人間のためのテクノロジーが出てきている。そのなかで堀は「トレッタは猫の尿の回数や量などを計測して健康状態をチェックしてきましたが、それに加えて尿の成分を分析できるようなサービスを拡充させていきたいと思っているところ」と話す。
 
病気を未然に防ぎ、猫の快適なライフスタイルの構築に向けて取り組んでいるトレッタキャッツ。猫が1分1秒でも長く幸せに生きられる世の中の実現に期待したい。

文=小野瀬わかな 編集=露原直人

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