経済・社会

2023.03.23 08:00

EV電池の原材料は「児童労働」に依存という不都合な現実

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昨年8月、テスラのイーロン・マスクCEOと同社の取締役会は、資材の調達方法や、間接的にでも児童労働に依存していないことを確認する手順について詳細な報告を行うことを求める提案を却下するよう株主に促した。同提案は、2022年8月に圧倒的多数で否決された。今回の報告書についてテスラについてコメントを求めたが、回答はなかった。

利用される子どもたち

オバマ政権で国務次官補を務めたポズナーによると、零細鉱山では小さなトンネルや穴に入りやすいという理由で子どもたちが利用されているという。「家族で鉱山に入って不安定な地面に穴を掘り、子どもを坑道に送り込む姿を見るが、坑道は崩落することがある」とポズナーは話す。
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調査によると、テスラなどの企業は零細鉱山と直接取引をしていないものの、ASMで採掘されたコバルトを間接的に購入しているという。テスラは、主にGlencore(グレンコア)のような大手資源会社から調達しているが、仲介業者がASMで採掘されたコバルトを大手生産者に販売しているとポズナーは指摘する。

「大型採掘機ですくい上げられたコバルトは、手掘りで採掘し、地元の市場に売られたコバルトと混ざっている。コンゴで混ざらなくても、中国の製錬所でいっしょに精製されている。いずれにせよ、大手の自動車会社や電機メーカー、バッテリーメーカーでは、ASMによって採掘されたコバルトがサプライチェーンの一部になっているのが実態だ」とポズナーは話す。

EV市場でテスラの牙城を崩すことを目指すGMは、すべてのサプライヤーが児童労働や強制労働を排除するよう務めているという。「我々は、グローバルのサプライチェーンを積極的に監視しており、法律や契約、または国連の基準に基づくサプライヤー行動規範に違反したり、その可能性を認識した場合には、広範な精査を行っている」と、同社の広報担当であるデビッド・バーナス(David Barnas)は述べている。フォードにもコメントを求めたが、回答は得られなかった。
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報告書は、自動車メーカーだけに鉱山の監視を求めることは長期的な解決には至らず、政府が小規模で非公式な鉱山を規制し、柵の設置などの安全策を講じてリスク削減を図ることが唯一の解決策だと主張している。報告書はまた、鉱山での児童労働を撤廃すると同時に、コンゴ政府とコバルトの利用者が鉱山で女性労働者を増やし、彼女らの経済状況を改善することを求めている。

ポズナーは、企業が問題を認識することが出発点だと指摘する。「自分の問題ではないふりをすることが解決策ではない。現状の問題を公式に認め、改善する努力がほとんど行われていない」と彼は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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