現在25歳のエゼキエルは、自身が撮影・制作したこのフォトブック『SMUT(猥褻)』のなかで、1人きりの女性や着替え中の女性、あるいは偽の身分証といったものにレンズを向けている。
エゼキエルによれば、このフォトブックは「メインストリームにおけるヘテロセクシャル(異性愛的)なメディアを再構成し、現在、主要なアダルト映画スタジオが量産している、シニカルで、しばしば問題のあるコンテンツを覆す一つの手段」になったという。
その狙いは、メインストリームで描かれるような、(異性愛的な)男性による「女性への視点」についてあぶりだすことにある。
エゼキエルがこのフォトブックの構想を練り始めたのは、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションの最終学年で、学位論文を書いていたときだ。
「私はレズビアンの映画制作者たちが生み出しつつある、新たなアダルト映画の波について学位論文を書いていました。そうした作品は、現在主流となっている、ヘテロセクシャルなビジュアル文化の土台を崩し、女性が表現される方法について、そのコントロールを取り戻そうとするものです」とエゼキエルは語る。「それをきっかけに、問いを抱き始めました。私も同じように、女性を『モノとして見る』ことをせずに、そのセクシャリティを称えるようなイメージを制作できるだろうか、と」
そこから生まれたこのフォトブックは、アートと性愛、そしてファッションの境界を曖昧にするものだ。この記事では、フォトブックに収録されている作品について、エゼキエル自身に制作過程を語ってもらった。
サーシャ・スワン、立ち姿、2019年
1作目の最初と最後に登場するのは、私の古くからの友人のひとりで、アダルト映画俳優でもあるサーシャ・スワンです。この最初のシリーズは、彼女がカムガール(Webカメラを通じてパフォーマンスを配信する女性)としてアダルト映画業界でのキャリアをスタートさせたことに敬意を表したものです。この作品では、媒体をめぐるコンセプトとともに、「見えないものを見る」という概念を探っています。これは、エロティックなイメージには欠かせない要素です。この作品を見る者を、スワンならではの官能の世界へ連れていき、魅惑的な彼女の人生を垣間見てほしいと考えました。