WOMEN

2023.03.14

現代女性のセクシャリティを称えるエロティックな写真集『Smut』

Getty Images

メインストリームにおける性的な写真は通常、そこに写る女性を「モノとして見る」ところがある。フィリピン出身で、現在は英国を拠点とするアーティストのエゼキエルによる新作フォトブックは、そうした性格を持たない性的な写真が存在しうるかどうかを問いかけている。

現在25歳のエゼキエルは、自身が撮影・制作したこのフォトブック『SMUT(猥褻)』のなかで、1人きりの女性や着替え中の女性、あるいは偽の身分証といったものにレンズを向けている。

エゼキエルによれば、このフォトブックは「メインストリームにおけるヘテロセクシャル(異性愛的)なメディアを再構成し、現在、主要なアダルト映画スタジオが量産している、シニカルで、しばしば問題のあるコンテンツを覆す一つの手段」になったという。

その狙いは、メインストリームで描かれるような、(異性愛的な)男性による「女性への視点」についてあぶりだすことにある。

エゼキエルがこのフォトブックの構想を練り始めたのは、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションの最終学年で、学位論文を書いていたときだ。

「私はレズビアンの映画制作者たちが生み出しつつある、新たなアダルト映画の波について学位論文を書いていました。そうした作品は、現在主流となっている、ヘテロセクシャルなビジュアル文化の土台を崩し、女性が表現される方法について、そのコントロールを取り戻そうとするものです」とエゼキエルは語る。「それをきっかけに、問いを抱き始めました。私も同じように、女性を『モノとして見る』ことをせずに、そのセクシャリティを称えるようなイメージを制作できるだろうか、と」

そこから生まれたこのフォトブックは、アートと性愛、そしてファッションの境界を曖昧にするものだ。この記事では、フォトブックに収録されている作品について、エゼキエル自身に制作過程を語ってもらった。

サーシャ・スワン、立ち姿、2019年

1作目の最初と最後に登場するのは、私の古くからの友人のひとりで、アダルト映画俳優でもあるサーシャ・スワンです。この最初のシリーズは、彼女がカムガール(Webカメラを通じてパフォーマンスを配信する女性)としてアダルト映画業界でのキャリアをスタートさせたことに敬意を表したものです。

この作品では、媒体をめぐるコンセプトとともに、「見えないものを見る」という概念を探っています。これは、エロティックなイメージには欠かせない要素です。この作品を見る者を、スワンならではの官能の世界へ連れていき、魅惑的な彼女の人生を垣間見てほしいと考えました。
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翻訳=ガリレオ

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