国内

2023.03.23

新ペットフードに会員15万人 飼い主も犬も夢中になる理由

バイオフィリア代表の岩橋洸太(撮影=曽川拓哉)

ペットの食の選択肢が広がっている。従来は、大量のフードを高温で加熱し、乾燥させたドライフードが主流だったが、いま「フレッシュフード(人でも食べられる、新鮮な食材を使ったペットフード)」が急速に普及している。

「CoCo Gourmet(ココグルメ)」は、フレッシュフードを提供する企業の一つ。動物栄養学に詳しい獣医師が監修した手作りの国産総合栄養食が好評で、2022年の売り上げは14億円、会員数は15万人を超えている。

鶏むね肉と野菜を使う、味にこだわったフードや、低脂質な国産マダラにビタミン豊富なかぼちゃを合わせたダイエット食などメニューはさまざまだ。単品購入のほか毎月届く定期購入があり、冷凍で配送される。
 
同サービスを展開するバイオフィリアの代表である岩橋洸太(いわはし・こうた)に話を聞くと、事業好調の背景には顧客との深い絆があった。ペットも飼い主も喜ぶ秘訣に迫る。




時代の流れとともにニーズが変化してきたペットフード 

そもそもペットフードのニーズはどのような変遷をたどってきたのか。岩橋は「犬猫の役割の変化とともに変わってきた」と話す。
 
「戦後は『番犬』という役割で外で飼うのが一般的でしたが、平成のペットブームを境に、人は『癒し』を求めるようになり、家の中で一緒に過ごす時間が増えました。
 
それに伴い、ペットフードにも変化が起きた。番犬時代はいわゆる『猫まんま』と呼ばれるような、白米に味噌汁をかけたご飯が主流でした。しかしワンちゃんにとっては塩分過多になってしまう。徐々に『ワンちゃんにはワンちゃんに適したご飯を』という風潮ができてきました」
 
そうしたなかで近年フレッシュフードの需要が伸びている背景には、次のような理由があるという。
 
一つは健康面だ。上記の岩橋の説明にあるように、病気の原因は食事がきっかけとなることが多く、体に気を使った食事が求められている。 

また、従来のペットフードは酸化した匂いがしたり、味のパターンも少ないが、ペットと家の中で過ごすことが増えたため、飼い主と愛犬の食事の違いが際立つようになってきた点だ。

「今も昔もペットに対する愛情は変わらないと思いますが、『外飼いから室内飼いへ』という外形的な変化をきっかけに、心理的にもより『家族』としての愛情が深まってきていると考えています。
 
家族に対して、同じように美味しいご飯をあげたいと思うのは自然なこと。こういった背景から、飼い主さんたちはフレッシュフードの重要性を認識されているのでしょう」
次ページ > ユーザーと一緒に作ったジビエフード

取材・編集=露原直人 文=小野瀬わかな 撮影=曽川拓哉

タグ:

連載

人とペットのウェルビーイング

ForbesBrandVoice

人気記事