北米

2023.03.17

米国で最も人気の犬種が31年ぶり交代、ラブラドルからフレンチブルに

Getty Images

米愛犬団体アメリカンケネルクラブ(AKC)が15日に発表した米国で人気の犬種ランキング2022年版で、高級犬種として知られ人気急上昇中のフレンチブルドッグが、31年間にわたってトップに君臨してきたラブラドルレトリバーを抜いて1位となった。

AKCが「賢い小型犬種」と評するフレンチブルドッグの人気は、この10年間で1000%以上の高まりを見せ、約200犬種が認定されているAKCのランキングを駆け上って、2021年には2位に付けていた。

2022年ランキングの2~5位は順に、ラブラドルレトリバー、ゴールデンレトリバー、ジャーマンシェパード、プードルとなった。最も人気が低い197~199位は、スルーギ、ノルウェイジアンパフィンドッグ、イングリッシュフォックスハウンドだった。

フレンチブルドッグが犬種としてAKCに認定されたのは1898年。AKCによると、平均体長およそ30センチ、平均体重は12.7キロで、屋外でたくさん運動させなくてもよく、さまざまな家庭環境に適応する「優れた番犬」として、飼う人が近年増えている。人気を支えているのは著名人たちだ。女優のリース・ウィザースプーンや民主党のアレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員ら、多くの有名人がソーシャルメディア上で愛犬のフレンチブルドッグを自慢している。

2021年には、ロサンゼルスで歌手レディー・ガガの飼い犬の散歩をしていた男性が銃撃され、フレンチブルドッグ2匹が強奪される事件が起き、話題を集めた。2匹は数日後、ある女性の手でロサンゼルス市内の警察署に届けられ、無事に保護された。女性は2匹がポールに縛り付けられているのを発見したと主張し、ガガが犬を返してくれた人に支払うと約束していた懸賞金50万ドル(約6600万円)について尋ねたが、ロサンゼルス・タイムズの報道によれば、後に強奪犯の1人の父親と関係があったことが判明した。事件をめぐっては同年4月に5人が逮捕され、警察によると貴重な犬種だと知っていたため犯行に及んだと供述したという。

ただ、フレンチブルドッグの人気には批判が付いて回る。その多くが、生涯にわたりさまざまな健康問題に悩まされるからだ。イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校獣医学部によると、フレンチブルドッグの子犬は頭が大きいため、帝王切開での出産が一般的だという。学術誌『Canine Medicine and Genetics(犬の医学と遺伝学)』に2021年に発表された研究論文でも、フレンチブルドッグは「極端な体型」が大きな原因となり、一般的な20種類の病気と診断される確率が他の犬種より高いことが示された。論文によると、閉塞性気道症候群になる確率は30倍、外鼻孔狭窄は42倍、難産は9倍高いという。

健康上の問題が広範に及ぶことから、フレンチブルドッグの繁殖は残酷で非人道的だと主張する人も多い。ノルウェーの裁判所は昨年、同系交配が健康問題の多くを引き起こしているとの動物保護団体の訴えを受け、ブルドッグの繁殖を禁止した。英国獣医師会は、「寿命を縮める」多くの健康問題の原因が繁殖にあるとして、人々にフレンチブルドッグなどの短頭種を購入しないよう呼び掛けている

forbes.com 原文

編集=荻原藤緒

ForbesBrandVoice

人気記事