風の力で燃料節約、新世代の帆を商船三井が採用

プレスリリースより

すでに世界の船舶への導入が進められている風力推進補助装置「ローターセイル」を、商船三井が鉄鉱石の運搬に使用している20万トン級のばら積み船に搭載することを決めました。

ローターセイルはマグナス効果を応用した装置です。マグナス効果とは、風などの流体の中で円筒を回転させると、流れに圧力差ができ、流れと直角の方向に力が生じるという現象です。野球のボールに回転を加えるとカーブするのは、このマグナス効果によるものです。

ローターセイルを搭載した船舶は、一般に「ローター船」と呼ばれ、20世紀初頭に活躍したドイツの発明家アントン・フレットナーが1924年に製造した「ブッカウ号」(帆船から改造)が世界第1号です。ブッカウ号は、1926年には大西洋横断を果たしました。大変に歴史ある装置ですが、現在は、商船三井が採用したフィンランドのノースパワー社などが自動制御式のローターセイルを製造しています。

商船三井の船には、高さ35メートル、直径5メートルという巨大なローターセイルが2基搭載されます。風向きに応じてモーターで回転方向を調整することで、燃料消費量とGHG(温室効果ガス)排出量がともに6〜10パーセント低減できるとのことです。ローターセイルは、2024年前半に搭載される予定です。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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