健康

2023.03.10 09:00

正解のない時代を生きる私たちの必修科目「セルフアウェアネス」

日本人に必要なセルフアウェアネスは?

ところが、私は日本の様々なビジネスリーダーとのコミュニケーションをするなかで、日本人はより「内面的自己認識」により取り組むことが必要であると感じている。 日本語には“世間体”という英語に訳すのが難しい言葉が存在する。「世間からどう見られるか」「人からどう見られるか」を常に意識する社会。幼少期からその中で育ってきた私たち日本人は、「自分の声」を聞くことよりも「他人の声」に従って生きることを優先する癖が習慣づけられてしまいやすい。

Getty Images

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「内面的自己認識」を高めることで、自分の心身、さらには思考がどんな状態であるかに意識を向ける習慣をつくることができる。そうした習慣により、内面的自己認識の土台ができると、次第に自分の内側に湧く感覚や感情を、日々の生活や仕事での現実的な意思決定に活かせるようになっていく。つまり「他人の声」ではなく「自分の(内なる)声」を優先できるようになるのだ。

もちろん、「他人の声」を聞くこと、人や社会からの要求に応えようとすることは悪いことではない。ただ、人の期待に応えてばかりいると、相手が喜んでくれるのが嬉しくて、いつのまにか「人の期待=自分がやりたいこと」にすり替わってしまうことがある。

そして、人の役に立つということが自分の自己承認欲求を満たすことと結びつくと、ますますそのループから抜け出せなくなっていく。日本人の「自己肯定感(ありのままの自分を肯定できる感覚)」や「自己価値感(自分が価値のある存在だと思える感覚)」が低いと言われるのはここに由来するところも大きいだろう。

自分以外の要素の変化が激しいなかで、揺るがない「自分」という軸を持つということ。それが、ますます「正解のない世界」をしなやかに生き抜くカギになるのではないだろうか。そのためにまず、ひとりひとりが自分に対して意識を向けることにはじまると私は感じている。

文=小川 麻奈

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