気候変動によって、社会の弱者が極度の貧困に追いやられ、今以上に医療サービスを利用しづらくなることが想定されます。眼病が予測通り増加し、眼科医療サービスが混乱すると、社会全体で視力障害と失明の罹患率が上昇し、弱者にしわ寄せがいくことになります。
このことは、気候変動対策の緊急性、そして気候変動が目の健康にどれほど有害であるかを認識、理解するが急務あること、さらに私たちの行動を変え、世界のリーダーたちがより包摂的な対応を導入するように導き、将来的な眼病の大発生を防ぐことが緊急の課題であることを浮き彫りにしています。
気候変動が眼の健康に与える影響を検討する
私たちの生活環境は、人間の健康に影響を与えています。環境が変化すれば、さまざまな眼科疾患の罹患率や重症度も変わっていくと考えられます。世界の気温上昇が地域社会に及ぼす影響に対する理解が進む中、目や視神経に関連する気候リスクを判断することが重要です。具体的に検討すべきは、これらの眼病がどの程度増加し、それが患者集団にどのような影響を与えるのかということです。
近年の研究によって、多くの眼疾患と周辺環境が関連していることが明らかになっています。しかし、それがどのように相互作用しているかを十分に理解するためには、さらなる研究が必要です。また、社会から疎外されたコミュニティが気候危機の影響を大きく受けることが予想されることから、今後の研究では、社会経済の発展や過去または今も続いている植民地主義が生み出した不公平に基づく疾病罹患率の評価に焦点を当てる必要もあります。
気候変動に関連する意思決定を包摂括的で網羅的なものとするには、ヘルスケア、特に眼科治療を後回しにしてはいけないというのが結論です。各国政府と世界のリーダーたちが国や世界のレベルで気候に影響を与える政策を打ち出す際には、ヘルスケアセクターをこのプロセスに適切に反映・関与させる必要があります。眼科治療セクターをコストとしてではなく、生産的な投資として認識する必要があります。
(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
連載:世界が直面する課題の解決方法
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