日本酒の枠を広げる「泡」と「ヴィンテージ」の可能性

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中道:そういう基準や仕組をつくるのは日本人の得意とするところなのでちゃんとできそうですよね。それが一度回り始めるとすごいことになりそうです。もともと日本酒に熟成はありませんが、貯蔵はどんな風にしているんですか。

永井:以前は一升瓶と720ミリリットルの瓶で光を遮断した真っ暗なセラーで熟成させていたんですけど、今はフレンチオークの新樽ごとマイナス貯蔵に入れています。

フランスのタランソー社の樽を6本買ったんですけど、日本酒の蔵が6本買ったのは初めてだったらしくて、わざわざタランソーからうちの蔵まで見に来ました。熟成した酒を一緒にテイスティングすると、80か国に樽を輸出しているけど日本酒は新境地だと、すごく面白がってくれました。

(C)永井酒造

(C)永井酒造


もうひとつ、尾瀬に生息する樹齢250年のミズナラが道路に出てしまって危険木として切られることになったんですけど、僕が尾瀬のボランティア活動をしている関係でそれを譲ってもらえたんです。

それで今、ミズナラ樽をつくっています。乾燥させるのにあと1年ぐらいはかかりますし、樽の完成までまだまだ時間がかかると思いますけど、ミズナラの香と日本酒とがハーモニーを起こしたらどんなにいい香になるのか今から楽しみです。

中道:ロマンですね。お話をうかがって僕も日本酒について勉強になりました。ありがとうございました。

文=久野照美 編集=鈴木 奈央

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