2020年9月にツイッターに入社したグリアーニは、南北アメリカの政策イニシアチブのトップを務めたが、2022年11月に退社した。当時のツイッターは、ロシアなどの海外の国からの偽情報への対処に厳しい目が注がれていたが、マスクは従業員の大部分の解雇に躍起になっていた。
米国国土安全保障省(DHS)に在籍時にテロや過激派対策を担当していたグリアーニは、先日リンクトインで米商務省の副次官補の職務に就いたと発表した。彼女は今後、米国のさまざまな企業が世界で競争するための政策条件を整える同省の取り組みに従事するという。
グリアーニもツイッターも、彼女の離職についてコメントしていないが、ツイッターの2人の元社員によると、彼女は自ら退職を申し出たのではなく、11月初旬に公共政策チームのレイオフの一環として解雇されたという。LinkedIn(リンクトイン)の情報から、同部門のメンバーの約半数がマスクによって解雇された模様だ。
マスクは、エンジニアリングとマネタイズに焦点を当て「ハードコア」に働く社員を優先する一方で、公共政策や安全管理部門の人員を大幅にカットしている。その結果、米国内外の選挙介入に対するツイッターの防御に隙間ができ、人権などの問題に関する取り組みが後退する恐れがある。
ある元社員は「11月のレイオフは、選挙期間中に偽情報や妨害に対処する能力に大きな影響を及ぼした」と述べている。「私たちがこれまで行ってきた努力はすべて消えてしまった」と彼は付け加えた。
マスクの指揮下でツイッターはその後もポリシー関連の人材の削減を進めており、世界各地の安全保障や人権問題への取り組みから後退している。
米国の人権担当だったシンシア・ウォンは9月に退社し、その1カ月後には11年のベテランで最高法務責任者のビジャヤ・ガッデが退社した。ダブリンなどの欧州の拠点でも、同様な動きが起きており、元社員の証言によると、公共政策チームの人員は今では12人程度にまで減少した模様だ。
しかし、このチームが完全に駆逐されたわけではなく、グローバル公共政策戦略担当のシニアディレクターだったニック・ピクルズは、12月に公共政策担当グローバル副社長に昇格した。
そんな中、マスクはこれまでどおり世界情勢に関する独自の見解をツイッターに投稿している。先日、彼はバイデン大統領の政策が中国とロシアを接近させていると非難した一方で、人工知能(AI)を公平にするために議会が動くことの必要性を訴えている。
(forbes.com 原文)