DXの温度差に乖離、現場の8割は熱望だが経営者は……

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ところが、具体的にDXが必要な部署を尋ねると、営業職の50.7パーセントが「営業や販売」と答えたのに対して、そう考える経営者は18.6パーセントでした。以下、経理と財務を除いてすべての部署で、営業職よりも経営者のほうが必要性を低く見ていました。しかも、「特になし」では経営者が53.1パーセントと、すべての項目をつうじて最大の割合になっています。

お金を扱う業務では、現場作業でトラブルを経験した人は8割近くにのぼっています。そして、現場担当者のほぼ8割が現金の取り扱いを止めるべきと考えています。また、取引先から現金払い以外の方法で支払いたいと言われた経験がある人は7割でした。

経験したことのあるお金のトラブルで多かったのが、顧客の支払い遅延、未回収金の発生、売り上げと集金の額の不一致などですが、すべてにおいて営業職よりも経営者のほうが小さな数値となりました。しかも、「トラブルは発生していない」と答えたのは、経営者が56.4パーセントと、営業職の49パーセントを上回りました。

これらを総合すると、この調査に限って言うならば、経営者はちょっと呑気に見えます。DXの恩恵は同様に理解していても、現場の人間ほど切実にDXの必要性を感じていないうえに、現場の人たちのDXに対する思いを理解していないようです。現場の人たちはDXで楽がしたいと言っているのではありません。業務の効率化によって、もっといい仕事ができると意欲を示しているのです。どうか、そこに気づいてほしいですね。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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