米版100円ショップ「ダラーストア」 インフレの影響で成長モードに

Dollar General store / Getty Images

ダラーストアによる食品への取り組み

1. 成長の勢い

食品の高騰が家計を大きく圧迫する中、多くの消費者がダラーストアの低価格の食品や飲料に買い替えをしています。Dollar Treeは2022年10月29日に終了した四半期の決算説明会で、消費財の既存売上高が2四半期連続で裁量品の売上高を上回ったことを報告しています。また、同社は消費者の関心の高まりに乗じて、食品マーチャンダイジング事業への投資を行っていることも発表しています。

同様にDollar Generalも、2022年10月28日締めの最新四半期は、アパレル、季節商品、家庭用品の売上高は減少したものの、消費財の既存店売上高が増加したことを報告しています。

実際、当社独自の週刊消費者動向調査(10月3日~12月5日)のデータでは、回答者の5分の1以上がダラーストアで食品を購入していることが一貫して分かっています。

図2. 過去2週間にDollar GeneralとDollar Tree/Family Dollarで食品を購入したと回答した人の割合
(図内の訳、コメント「5分の1以上の回答者がドルストアで食品を購入していると回答」) 対象:18歳以上の米国人回答者 出典:Coresight Research(図内の訳、コメント「5分の1以上の回答者がダラーストアで食品を購入していると回答」) 対象:18歳以上の米国人回答者 出典:Coresight Research

また、同じく同調査(10月24日~12月5日)によると、Dollar TreeとDollar Generalは、消費者が食品を購入する小売業者の上位5社に常にランクインしており、米国の食品分野でのこのチャネルの強さを反映しています。

図3. 過去2週間に食品を購入した回答者の購入先上位5社の割合
対象:18歳以上の米国人回答者 *City Market、Dillons、Fred Meyer、Fry's、Harris Teeter、King Soopers、Kroger、Ralphs および Smith's Food & Drugを含むKrogerのバナー 出典:Coresight Research対象:18歳以上の米国人回答者 *City Market、Dillons、Fred Meyer、Fry's、Harris Teeter、King Soopers、Kroger、Ralphs および Smith's Food & Drugを含むKrogerのバナー 出典:Coresight Research

2. ダラーストアでの食品購入者の所得層別分析

11月1日付の米国消費者動向調査によると、ダラーストアの利用者層は低所得者層が多いですが、中間所得者層も食品の売上増に大きく貢献していることがわかっています。世帯収入10万ドル以上の消費者は、5万ドル以下の消費者に比べて、ダラーストアで買い物をする割合が約半分となっています。

2022年の持続的な食品インフレは、様々な所得層の買い物習慣に影響を与え、ダラーストアはこの変化の恩恵を受けています。2022年9月7日に行われたDollar Generalの説明会資料で、同社のCEOであるTodd Vasos氏は、所得が7万5000ドルから10万ドルの高所得者層をこの数カ月で多く獲得していると述べています。

また、Dollar TreeのCEOであるMike Witynski氏も8月の決算説明会で、過去1年間の新規顧客の大半は年収8万ドル以上であったと述べています。

図4. Dollar General、Dollar Tree、Familiy Dollarで食品を購入した米国人回答者の所得別割合
対象:18歳以上の米国人回答者(調査日:2022年10月24日) 出典:Coresight Research対象:18歳以上の米国人回答者(調査日:2022年10月24日) 出典:Coresight Research

また、SNAPの給付金は、食品にのみ使用でき、非食用品、調理済み食品、アルコール飲料には使用できないため、ダラーストアは、生鮮食品と食品への多角化により、ターゲット層であるSNAP受給者への浸透を高めることができるでしょう。
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文=RxR Innovation Initiative

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