スコアにおける「重み」づけについて
サステナブル・ラボESGアナリストが、生産性・企業価値(=時価総額=PBR/PER)へのインパクトを定量解析によって特定し、算出した。パーセンテージが高くなるほど生産性・企業価値への相関性が高い。
ボランティア/社会貢献アワード・大賞関連ニュース数
大手メディア・ニュースサイトなどで社会活動やボランティア活動に関するアワード等の受賞をインターネット検索。NGO・NPO、各種自治体など国内のアワードに関するニュースの記事数を評価。スコアにおける重みは21%。
社会活動費
各社が開示している社会活動費、及び社会活動費の売上比率に基づいて偏差値を計算しスコアリング。スコアにおける重みは26%。
統合報告書におけるボランティア関連キーワード数
統合報告書、アニュアルレポート等の開示資料内のボランティア関連キーワードを検索し、関連単語の量を評価。重みは12%。
NPO等との連携
統合報告書、アニュアルレポート等の開示資料内のキーワードを検索。NGO・NPO・国際交流参画関連活動を特定。例:NPO・NGO団体の活動支援、寄付、途上国の開発支援・人材育成・研修員として受け入れなど。活動の有無を評価。重みは9%。
ボランティア休暇利用人数/従業員数
統合報告書、アニュアルレポート、企業HP等からボランティア休暇の有無、および利用人数を特定。従業員に対する割合をベースに偏差値を計算。重みは8%。
プロボノ支援の取り組みの有無
統合報告書、アニュアルレポート、企業HP等からプロボノ支援、および従業員社員が行うプロボノ活動支援を特定。重みは17%。
教育・学術・文化・芸術・スポーツ支援
統合報告書、アニュアルレポート、企業HP等から国内外の教育プログラム、各種研究助成、インターンシップ生受け入れ、またはスポンサーシップ(文化・芸術・スポーツ)を特定。重みは8%。
ボランティア・社会活動を行っている企業ランキング上位50社、総合スコア内訳
アクションの「自分ごと化」こそ利他への原動力: Forbes JAPAN Web編集長 谷本有香
ボランティアなどの社会貢献活動と、従業員のエンゲージメントや企業価値との相関性はあるのか──。
サステナブルラボの協力により得られたリサーチ結果からは「あり」と出た。この結果を見て、やはり、と思ったのは私だけではないだろう。
資本市場の短期的な売上至上主義が、結果として企業経営を近視眼的にし、それがひいてはリーマンショックをはじめとする強欲的な危機を生み出した。そこからの大きな転換を求められている中、私たちの眼前につきつけられた世界的共通課題が、気候変動問題を中心とする「地球のサステナビリティ」への対応だった。
これは、これまでの企業活動のように、労を尽くしてアウトプットされた商品やサービスが、いま目の前の人たちに供与され、そこから対価を得られる超短期的な時間軸ではない。
コストを払って取り組むことが、まだ見ぬ将来世代に利することになるかもしれない、その超長期視点が、私たちがいま取り組む課題感のスケールである。
そのタイムスケールへの移行は、経済発展だけではない、真の意味での「豊かさ」を求める時代への転換をも促した。実際、GDPに代わる指標として、ウェルビーイングという概念が取り上げられたり、世界においても、OECDでは「Better Life Index」や英「Measuring National Well-being」といったGDPを超えた新しい指標を構築する取り組みが始まっている。
その動きは国レベルに留まらず、企業の中にも根付き始めている。ESG経営や、人的資本経営の重要性が盛んに叫ばれるようになっているのもその流れだろう。
冒頭の問いである「利他精神」は、私たち日本人にとってさほど遠いものではない。従来より、売り手買い手の二方のみならず、世間の利益も問うてきた国民だ。
しかし、重要なのは、その利他の原動力になるアクションの「自分ごと化」なのではないか。
自身の達成感や、満足度、幸福感や心の豊かさにつながる、アクションへの自主性や主体性こそが、自分・相手・世間の三方へ向かうそれぞれのベクトルをバランスさせる。
それは単なるボランティア活動だけでは、企業価値に与える影響が限定的という、今回のサステナブルラボの結果を見ても明らかだ。
そういう意味において、ウェルビーイング時代、企業はミッション、ビジョンと言われるものは勿論、利害によらず、心を傾ける基本的な価値観となる「姿勢」を打ち出していく必要があるのだろう。その姿勢こそが、自身から自発的に生まれる社会へのベクトルだからだ。
サステナブル・ラボ◎AIとビッグデータを活用し、企業のESG/SDGs貢献度を可視化する非財務データバンク「
TERRAST β」「
TERRAST for Enterprise β」を開発・提供する。日経クロストレンド「未来の市場をつくる100社」、Forbes JAPAN「日本の起業家ランキングみずほ賞」(ともに2023年版)に選出された。