経済

2023.02.21 11:15

企業版ふるさと納税で一関市に「TGC」を呼び込む|クレイ勇輝

クレイ 市長のお話を聞いていて思ったことがあります。「スモール・ジャイアンツ」を探すのがこの対談のテーマなのですが、一関の場合は、規模は大きくない会社でも100社の集合体にする、自治体がキュレートしていくことでスモール・ジャイアンツになるのではないかと。
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こういう考えを持つ自治体は意外に多くはないと思いました。

佐藤 そうかもしれません。

一関には高専(一関工業高等専門学校)があります。昨年の「ロボコン」全国大会に出場していますし、過去には賞をいただいたこともあるんです。
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学生さんの中には起業のためのアイディアがある子もいます。そういう方には学生のうちからでも起業してほしいと思っているんです。一関市では、起業のために何が必要か、お金なのかノウハウなのか、そういう人と伴走できるよう、本年度から支援する取り組みを始めています。

一方、市内の事業所でこれから設備拡張を考えていたり第二創業を考えている企業に対するサポート態勢がこれまではありませんでした。それは令和5年度から取り組めるよう、いま予算編成しているところです。規模拡張を促すような支援策で成長の後押しができるよう考えています。

クレイ 都市部では埋もれてしまうような会社が、ここでなら成長できる環境があるかもしれませんね。

佐藤 IT企業の誘致は、昨年3月、市内全域に光回線が敷かれたことで可能になりました。いまようやく“畑”ができたんです。

先程もお話ししましたが、一関市は南北の大きな製造業の工場のはざまにある。そういう場所ではオフィス系の仕事などで展開していかないと難しいと感じています。だから「1億円の企業×100社」というウイングの広さが必要だと思っているんです。

クレイ 県庁所在地じゃない自治体が「TGC」やIT企業の誘致をするというのは、市長がある程度パワーを持ってやらないと実現は難しいですよね。いま市長はそれをやられているんだなと思いました。
最後になりますが、もうひとつ、SHOEIさんの存在も見落とせません。

この対談の前に知って驚いたんですが、SHOEIさんはバイク用プレミアムヘルメット(*)で世界シェアが6割なんです。業界トップのグローバルカンパニーの工場が一関にある。これはまさにスモール・ジャイアンツです。
*プレミアムヘルメット:FRP(繊維強化プラスチック)で作られたヘルメット。

佐藤 平成元年、市内の藤沢という場所に工場ができました。SHOEIさんとはもう30年以上のお付き合いをさせていただいています。

一関市で生まれた会社が長く根付いてくれて、その数が多くなれば、人が集まる。そういう会社がポツンとではなくあちこちに“在る”ことで、通勤時間を長くかけずに近い場所で働けるようにもなる。そういう環境を作りたい、だから1社ではなく100社を目指しているんです。こういう、一関市のビジョンを届けるために何にアピールすればいいか。そこに東京ガールズコレクションの発信力があったんです。

5月27日は、一関では田植えがひと段落し、小中学校の運動会などの行事も終わったころです。そして梅雨入りの前でもあります。多くの人に楽しんでいただきながら、一関市の魅力を知ってもらえる1日にしたいと思っています。

クレイ 今日はありがとうございました。



クレイ勇輝 実業家。2005年、神奈川県の逗子海岸で海の家ライブハウス音霊 OTODAMASEA STUDIOを発足し、音楽ユニット「キマグレン」結成。2008年、NHK紅白歌合戦に出場。今も実業家として様々な分野で活動している。

撮影 = 小畑秀行(adstage)

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