この資金調達ラウンドには、2017年にインテルが買収したモービルアイの共同創業者のアムノン・シャシュアや、既存株主のバッテリー大手CATLらが参加した。浙江省の寧波に本拠を置くZEEKRの評価額は130億ドル(約1兆7000億円)に上昇した。
杭州に拠点を置く浙江吉利控股集団のダニエル・ドンホイ・リーCEOは声明の中で、この資金調達は「ZEEKRの成長見通しと将来性に対する信頼の証」だと述べた。「当社は、世界中の顧客の需要に応えるために新たなサービスとモビリティソリューションを開拓し、ポートフォリオ全体の価値を引き出す方法を模索する」と彼は続けた。
2021年設立のZEEKRは、この資金をグローバルな販売ネットワークの構築と、独自技術の研究開発の強化に充てる。音声で操作する自動車制御アシスタントなどの人工知能(AI)ツールを特徴とする同社のフラッグシップモデルの「ZEEKR 001」は、1回の充電で641マイル(約1030キロ)を走行可能と報じられている。これに対し、テスラで最長を誇るモデルSの航続距離は396マイル(約637キロ)とされる。
ZEEKRは昨年、主に中国本土で7万台以上を販売し、中国に次ぐ世界第2位のEV市場である欧州での需要も取り込む考えだ。ロイターによると、同社は12月に米国でのIPOを秘密裏に申請した。
ボルボの親会社である浙江吉利控股集団は、ZEEKR以外にも他のメーカーと協力してEVを生産しており、2021年には、台湾の鴻海科技集団(フォックスコン)と合弁会社を設立し、自動車メーカーに製造委託を行っている。また昨年7月には、中国のインターネット大手Baidu(バイドゥ)と共同で、ハンドルがない完全な自律走行型のEVを初めて発表した。
中国のEVメーカーは、政府のグリーンモビリティの推進の恩恵を受けている。調査会社Preqinのデータによると、中国の自動車メーカーは2022年に59億5000万ドル(約7850億円)を調達したが、その多くはEV向けという。また、深圳のBYDは昨年、販売台数でテスラを抜き、世界最大のEVメーカーとなった。中国は1月にEV購入者への補助金を打ち切ったが、政府は2035年までにガソリン車を全廃する目標を掲げている。
(forbes.com 原文)