バンク・オブ・アメリカのアナリストは、2月14日の顧客向けメモで、米国の防衛関連の銘柄に強気だと書き「投資家は地政学的リスクを注意深く観察し、それに応じたポートフォリオを組む必要がある」と説明した。
ウォール街はすでに複数の大型防衛関連株に資金を注いでおり、Lockheed Martin (ロッキード・マーティン)、Raytheon (レイセオン)、Boeing (ボーイング)、Northrop Grumman (ノースロップ・グラマン)の軍事・防衛大手4社の株価は、米軍が中国の気球を撃墜した4日以降にそれぞれ4〜5%上昇し、S&P 500をアウトパフォームしている。
しかし、この騒動を投資のチャンスと捉える意見がすべてではない。モーニングスターのアナリストのニコラス・オーエンスは、フォーブスに対し「これらの銘柄のどれをとっても、狙いを見いだすのは難しい」と語った。
オーエンスは、気球を撃墜したロッキード・マーティンのF-22ラプター戦闘機などのテクノロジーが注目を集めていることは確かだ、それらは新たな技術とは言い難く「投資の機会はまったくない」と指摘した。
しかし、バンク・オブ・アメリカは、中国と台湾の衝突の可能性とロシアとウクライナの戦争の激化に触れつつ、地政学的緊張がどちらの方向にも市場を揺さぶる可能性があると警告した。一方で、停戦や平和の枠組みが、巨大な強気市場につながるかもしれないと指摘した。
RBC Capital Markets(RBCキャピタルマーケッツ)のアナリストのケン・ハーバートは、フォーブスに対し「最近の出来事は、防衛株にポジティブな影響を与えるだろう」と述べ、General Dynamics(ゼネラル・ダイナミクス)や L3Harris(L3ハリス)、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマン、レイセオンなどの銘柄を挙げた。また、地政学的な緊張の高まりが、軍事費の見通しにつながると指摘した。
航空宇宙株と防衛株は、スパイ気球の騒動の前から株式市場で最もパフォーマンスの高いセクターの1つになっており、過去12カ月でS&P 500が8%のマイナスを記録した状況下においても8%のプラスを記録した。バンク・オブ・アメリカのアナリストは、ウクライナでの戦争が「重要な未知数」であり「中期的に資産価格に大きな影響を与えうる不確定要素だ」と述べた。
米国の軍事・防衛大手4社の時価総額の合計は、中国のスパイ気球の撃墜以降に240億ドル(約3兆2000億円)上昇した。
(forbes.com 原文)