北米

2023.02.17 08:00

時価総額9兆円のステーブルコイン「テザー」の謎だらけの実態

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暗号資産業界における最大の謎の1つが、時価総額が680億ドル(約9兆円)の「USDT」と呼ばれるステーブルコイン「Tether(テザー)」を支える莫大な資金がどこに置かれているのか、その金額は十分なのかというものだ。テザーの運営元のテザー社は、当局の調査や透明性を求める要求にもかかわらず、これまでバランスシートを開示せず、銀行パートナーの名前を出すことも拒んできた。

そんな中、フォーブスが入手した内部資料で、同社が2021年に370億ドル(約5兆円)の準備金をCapital Union(キャピタル・ユニオン)というオフショア銀行に移していたことが判明した。これにより、バハマを拠点とするCapital Union(キャピタル・ユニオン)が、テザーの最大のカストディアン(資金の保管業務を担う金融機関)となっていたことになる。資金が移動されたのは、同社が財務内容を偽っていたとされた裁判で、ニューヨーク州の司法当局と和解した後のことだった(ただし、和解にあたってテザー社は、不正行為を肯定も否定もしていない)。

テザー社はまた、別のバハマの銀行のAnsbacher(アンスバッハ)にも準備金の一部を預けていると、事情に詳しい2人の関係者がフォーブスに語った。そして、別の3人の情報筋によると、テザーはさらに、ニューヨークの金融サービス大手Cantor Fitzgerald(キャンター・フィッツジェラルド)を米国の債券ポートフォリオのカストディアンに起用したという(テザー社は最近、資産の半分以上が債権だと報告していた)。

同社はこれまで、これらの金融機関との関係を公にしたことはなく、準備金の内訳と銀行パートナーへの分配も不明のままだ。フォーブスの取材に対し、キャピタル・ユニオンはコメントを控えた。テザー社、Cantor Fitzgerald(キャンター・フィッツジェラルド)、Ansbacher(アンスバッハ)の親会社のDeltec(デルテック)からは、締め切りまでに回答がなかった。
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編集=上田裕資

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