昨年10月に10枚目のスタジオ・アルバム『Midnights』をリリースしたテイラー・スウィフトは、「ビルボード・ホット100」の上位10位を独占した史上初のアーティストとなった。しかし、2022年の収入9200万ドル(約123億円)の70%は、過去にリリースした楽曲やアルバムのストリーミングや売り上げからの収益だった。結果、今回の収入ランキングでは9位に入っている。ランキング入りは6回目で、2019年には首位を獲得していた。
昨年は、一部の大御所ロックスターにとってスウィフト以上に良い年になった。ローリング・ストーンズ(7位)は、欧州で昨年行った60周年記念ツアーを成功させ、9800万ドル(約131億円)を稼いだ。ジェネシスとスティング(2位)は、さらに良い結果を残した。両者は、過去の楽曲の権利をそれぞれ3億ドル(約403億円)で売却し、投資家が広く愛される音楽を安全な投資先として捉えていることを示した。
ジェネシスが権利を売却した楽曲には元メンバーのピーター・ガブリエルの作品は含まれていないが、それでもこれほどの高値が付いた。ジェネシスはまた、2022年の再結成ツアーで推定2700万ドル(約36億円)を稼ぎ、スティングを打ち負かして初のランキング首位に立った。
エンタメ業界が確実な収益を期待できる取引を好むことは、他の事例からも分かる。放送開始から34年の『シンプソンズ』の生みの親であるジェームズ・L・ブルックスとマット・グローニングは、2019年のストリーミング契約により全30シーズンの配信をDisney+に移行させ、年間1億500万ドル(約140億円)の収入を得たことにより、5位にランクインした。
さらに、映画監督のジェームズ・キャメロンが、十数年ぶりにトップ10に返り咲いたことも注目に値する。監督した2009年の大ヒット映画『アバター』の続編『ザ・ウェイ・オブ・ウォーター』は12月の公開以来、21億ドル(約2800億円)以上の興行収入を記録。同作の成功により、キャメロンは推定年収9500万ドル(約127億円)で8位に入った。