現在、全世界でおよそ4人に1人、すなわち5200万人の女性と少女が医療従事者によるFGMの施術を受けており、これはFGMの医療化が進んでいるという憂慮すべき傾向を示している。2023年だけでも、全世界で432万人の少女がFGMを受ける危険にさらされているという。
FGMは主にアフリカと中東の30カ国で行われているが、アジアやラテンアメリカの一部の国でもみられる。また、西欧、北米、オーストラリア、ニュージーランドに暮らす移民のあいだにも根強く残っている世界共通の問題だ。
しかし近年、いくつかの前向きな変化がみられる。国連人口基金(UNFPA)の報告によると、「教育、対話、合意形成を通じたコミュニティ主導の取り組みの結果、3万4659のコミュニティに属する4500万人超の人々が、(FGMの)放棄を公式に宣言した」という。「さらに、コミュニティベースの監視体制が確立されたおかげで、53万2158人の少女に対するこの処置の実施を防ぐことができた」と報告されている。
しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が、FGM根絶の取り組みに広く影響を及ぼしているようだ。UNFPAの予測では、2030年までのFGM根絶に向けた取り組みが3分の1ほど減少するという。新型コロナウイルス感染症のパンデミックに伴って防止プログラムが中断されたことにより、本来なら避けられたはずのFGMが、今後10年間で200万件実施される可能性があるという。
パンデミックによる困難に対処しつつFGMを阻止するためには、さらに多くの努力を要する。FGMが実施されれば、少女たちは生涯にわたって、防げたはずの結果と向き合うことになる。FGMの短期的な影響としては、激しい痛みやショック、多量の出血、感染症、排尿困難などがある。長期的には、性と生殖に関する健康およびメンタルヘルスへの影響が挙げられる。
UNFPAとUNICEF(ユニセフ)によるFGM根絶のための共同プログラム「UNFPA-UNICEF Joint Programme on the Elimination of Female Genital Mutilation: Delivering the Global Promise」は2023年のテーマとして、「FGMをなくすため、社会・ジェンダー規範を変革するための男性や少年とのパートナーシップ(Partnership with Men and Boys to Transform Social and Gender Norms to End FGM)」を打ち出した。
UNFPAとユニセフは、この有害な慣習の撤廃を進め、女性と少女の声を高めるために、国際社会が男性や少年と連携し、彼らの関与を促進するよう呼びかけている。国連によると、エリトリア、エチオピア、ギニア、スーダンなどの国々では、男性や少年の間でFGMへの反対意見が多いという。
UNFPAとユニセフは、世界中の団体と協力して男性や少年を巻き込み、彼らが積極的な役割を果たしてくれるよう取り組んでいる。
(forbes.com 原文)