アブダビには、世界最大を自認する屋内農園がある。GreenFactory Emirates(グリーンファクトリー・エミレーツ)の施設は、年間約1万トンの生鮮野菜を栽培できるという。
エアロファームズはすでに中東市場で一定の経験を有している。11月には、カタール・フリーゾーン庁(QFZA)およびDoha Venture Capital(ドーハ・ベンチャー・キャピタル)と、カタールに垂直農園を建設するパートナーシップ契約を締結した。オオシマによれば、この施設は2023年にも稼働する見通しだ。
アブダビには研究開発専用の屋内農園もある。昨年から栽培を始めていて、今月中に正式オープンの予定だ。ここでは、新品種の開発や栽培技術の改良に力を入れている。
「垂直農法は、食料安全保障と食料主権の取り組みに重要な役割を果たすだろう」とオオシマはいう。「従来の畑作農業にも応用できるイノベーションの起爆剤として、畑にも移植可能な次世代の種子や植物の開発を加速させる」可能性もあるとしている。
ただし、この分野が、一部商品にとどまらず食料輸入量を実際に減少させられるほど大きく成長できるかどうかは未知数だ。
投資会社KBW Ventures(KBWベンチャーズ)の創設者で最高経営責任者(CEO)を務めるサウジアラビアのハリド・ビン・アルワリード王子は、楽観的な見方を示している。同社は米アリゾナ州の農業技術(アグリテック)企業OnePointOne(ワン・ポイント・ワン)に投資している。
「KBWベンチャーズがワン・ポイント・ワンを支援した理由の1つは、事業規模を拡大できると考えているからだ。そして、規模拡大を可能にする垂直農業の特徴の1つは、地域に最適化した生産計画だ。砂漠だろうがどこだろうが空間に最適化した施設を作ることができ、季節の変化や居住性といった気候条件を考慮する必要もない」と王子は語った。
「垂直農法の欠点として、すべての農産物を栽培できるわけではないとよく指摘されるが、この技術はまだかなり初期の段階にあり、必ずそのレベルまで到達できると信じている」
(forbes.com 原文)