しかし、テクノロジーのおかげでこの問題はまもなく緩和されるかもしれない。屋外の畑で作物を育てるのは中東地域の大部分において困難だろうが、垂直農法というアイデアが部分的な解決策となりそうだ。これは、空中栽培や水耕栽培といった技術を用いて、屋内に階層上に並べた棚の上で作物を育てる手法だ。
垂直農園には巨大な施設もある。昨年ドバイに開設された世界最大とされる垂直水耕栽培農園の敷地は約3万660平方メートルあり、サッカー場約6面分に相当する。レタス、ホウレンソウ、ルッコラをはじめ年間約100万キログラムの作物を生産できる。
世界最大の垂直農法市場は米国だが、シンガポールなど利用できる土地が限られている国や、中東のように気候の厳しい国では、急速な成長をみせる可能性がある。
サウジアラビアは現在、活動が活発化している国の1つだ。昨年12月、現地企業のMowreq(モウレック)が台湾のYesHealth(イエスヘルス)と合弁契約を締結した。サウジアラビア全土に屋内垂直農園のネットワークを展開する計画で、首都リヤドに第1号農園の年内オープンを予定している。
また、垂直農園専業の米AeroFarms(エアロファームズ)とサウジアラビア政府系ファンドのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)も先日、独自の垂直農園ネットワークを開発する合弁事業計画を発表した。この新しい合弁会社の共同出資者によると、リヤドにできる第1号農園は中東最大の垂直農園となる見通しで、年間最大110万キログラムの葉物野菜やハーブを生産できるという。2024年の操業開始を見込んでいる。
これは皮切りにすぎない。エアロファームズの共同設立者で最高マーケティング責任者(CMO)のマーク・オオシマは、今後数年以内に中東・北アフリカ周辺地域でさらに複数の垂直農園を開発予定だと語った。