社員の金融リテラシー、会社が向上を支援すべき理由

金融リテラシーは一種のスキルであり、若い労働者はそれを構築する上で雇用主からの支援を必要としている。

米生命保険大手プルデンシャル・ファイナンシャルが米国の成人4796人を対象に実施したアンケート調査では、若い世代が「今を生きる」ことと、将来のために貯蓄すること間のバランスが取れず、金銭管理の面で喫緊の課題と不安を抱えていることが示された。回答者の半分近くは、緊急時に備えた貯蓄が500ドル(約6万4000円)未満だった。ミレニアル世代とジェネレーションZでは、約39%が緊急時に使う貯蓄が全くないと回答した。

現在の経済状況により、若者は長期的な家計の健全さ確保に向けた積極的努力を強いられており、これは雇用主が支援できる分野だ。ジェネレーションZの58%とミレニアル世代の57%が、自分の雇用主には従業員の経済状況に関する自信を強める責任があると回答した。若い労働者に金銭面のノウハウを身につけさせれば、生産性と雇用主への忠誠心が上昇し、企業にとっても大きなメリットとなる。

若者世代の窮状

プルデンシャルの調査から明らかになった懸念すべき事実の一つとして、本業だけでは生活費の工面や将来のための貯蓄に十分な収入が得られないと考える若者が多いことがある。ミレニアル世代の49%とジェネレーションZの48%は、金銭面での目標を達成する上で自分の給与では十分ではないと回答した。

ミレニアル世代の41%とジェネレーションZの44%は、収入を増やす方法として最も有力なのは転職だと考えていた。またミレニアル世代の77%とジェネレーションZの81%は、収入を補うためのギグワークを実行中または検討中だと答えている。

ギグワークを実行・検討中の労働者の34%は、副業は生活の維持するための一時的なものだと答えた一方、28%は今後ギグワークをフルタイムで行う可能性があると回答した。これは、現在の雇用主にとって懸念すべきことだ。

福利厚生としての金融講座

若い世代の多くは、予算管理や投資のための貯蓄法など、基本的な金融リテラシーを教えられていない。これが一つ問題かもしれない。ミレニアル世代とジェネレーションZの70%近くは予算をきちんと管理しておらず、ミレニアル世代の38%とジェネレーションZの44%は投資を行なっていない。

雇用主がファイナンシャルウェルネス(金銭面の健全性)訓練などの福利厚生を提供すれば、従業員の安心感は高まり、精神的な余裕が生まれる。
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編集=遠藤宗生

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