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2023.02.03

「木でできている製品」を使うと森林破壊が進む?

「木でできている製品」と聞くとなんとなくエコなイメージがあるかもしれないが、本当にそうなのだろうか。

海洋プラスチック問題が深刻化し、プラスチックの代替品として使われることもあるが、多くの人が一度は「木製品を使うと森林破壊につながるのでは?」と思ったことがあるはず。

そこで今回は、木製品が環境に与える影響についてまとめていく。

日本の森林資源は増えている

画像引用元:政府広報オンライン画像引用元:政府広報オンライン

日本は森林が国土の3分の2を占める世界有数の森林国であり、実は国内の森林資源は毎年1億㎥ほど増え続けている。

1966年から2017年の約50年間、森林面積は横ばいだが、人工林の割合が年々大きくなってきており、木が成長して木材として活用できる木が増加していることを示している。

しかし、国産材の利用は進んでおらず、2020年の木材自給率は4割にとどまっているのが現状だ。
放置される人工林画像引用元:政府広報オンライン画像引用元:政府広報オンライン

国内の森林資源が増えているにもかかわらず国産材の利用が少ない理由は、海外の安価な木材が輸入されるようになり、林業の採算性が低下したからだ。

林業の生産活動の停滞から放置される人工林が増え、間伐が行われないことで日光が差し込まず下草が生えなくなったり、土砂崩れの原因になったりする。

また、手入れされないと新しい木が植えられず、高齢の木々ばかりになってCO2吸収量が低下してしまう。

国産材の活用が森林を守る

先に述べたように、国産材を正しく活用すれば森林を破壊することはなく、むしろ健全な森林を守ることにつながる。

健全な森林は、土砂災害の防止や林産物の供給、生物多様性の保全といった多様な機能を持っている。

人工林の木材を使った製品を積極的に使うことで、その対価は山村に還元され、働き手が増加することで農山村地域の活性化にも貢献できる。

森林破壊の要因は?


製品に使う木材を得るために森林が破壊されることはあまりなく、 農地への転用や薪の過剰採取、干ばつ、非伝統的な焼畑農業、森林火災などが主な要因とされている。

特に、パーム油生産を目的とした農地への転用が問題となっており、1990年~2010年までの20年間でインドネシア、マレーシア、パプアニューギニアの森林約350万haが失われた。

 一方、中国やインド、ベトナムを中心とした温帯林は植林活動が活発であり、森林面積が増加している国もある。
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文=エシカルな暮らし編集部

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