訓練は極めて重要だ。M-1とりわけその砲塔とエンジンは、操作ミスに対する許容性がない。「M-1は近代における欧米のどの戦車よりも、砲塔の訓練を必要としています」と、戦車の豊富な経験をもつマーク・ハートリング陸軍退役大将がツイートした。
「同じことはエンジンにもいえます」とハートリングは付け加えた。「操縦士が訓練を受けていないと戦車は『爆発』します」確かにウクライナ軍は気まぐれなタービン駆動のT-80BV戦車を経験している。しかし、年を経た元ソビエト製T-80BVは、M-1と同じ水準にはない。
M-1のように複雑な戦車の場合、戦場での修理ができるとは限らない。「M-1の修理には部品交換が必要な場合もあります」とハートリングはツイートした。「引き抜いて交換する必要があるものもあります」前線の大隊が光学系の壊れたM-1を修理することはおそらく無理だろう。代わりに、サブシステム全体を取り外して補給所に送り、交換用サブシステムを発注する必要がある。
それは大変な運搬だ。ポーランド軍は数百台のM-1を入手しているため、ウクライナ軍が戦車やそのサブシステムをポーランドに送って修理してもらう可能性はある。しかし「ポーランドとウクライナ東部のドンバスをつなぐ供給路は800kmあります」とハートリングは指摘した。
つまり、最終的にM-1はウクライナ軍に大きな力を新たにもたらすだろう。高いコストとともに。
M-1をウクライナに送る決定に関わった全員がその複雑さを理解している。「私たちは【略】さまざまな武器供与を同期させ、それらを完全に使用できる能力へと変えるために全力を尽くします」とロイド・オースティン国防長官はいう。「それは、供与から訓練、保守、維持にいたるまでのあらゆるステップを意味しています」
ウクライナ軍がM-1を装備することに関するこうした本質的な難しさは、それとは別に欧州諸国がウクライナに戦車レオパルト2を供与する取り組みの重要性を強調している。レオパルト2はディーゼルエンジンを使用している。装甲はさほど高度な機密はない。レオパルト2を保有している場所は欧州各所に10カ所ほどある。
ウクライナが最初のM-1大隊を待つ間、複数の大隊に急いでレオパルト2を装備させることが可能だ。「レオパルト2の採用は、負担が減ることを意味しています」とハートリングは説明した。
(forbes.com 原文)