これは、ウクライナ海軍が数カ月前にロシア軍によって失われた捜索・救助能力の再建を開始したことを意味する。
ウクライナの国防相オレクシー・レズニコフは1月21日、 機体にウクライナの国旗色が塗装されたシーキングが「黒海付近」で救助訓練をしている様子を撮影した動画を投稿した。
1980年代に製造されたシーキングHU.5は元々、対潜水艦ヘリコプターで、その後、対潜装備を取り払って実用ヘリとしての長い役目を終えた。実用ヘリとしての任務は野原の上を低く飛び、乗員がウインチで人を降ろしたり引き上げたりする間、ホバリングするというものだ。
同ヘリによる吊り上げの訓練は、これがウクライナでのシーキングの主な役割であることをはっきりと示している。英国が供与したヘリでウクライナ海軍ができることはたくさんあるが、どうやら長年使用してきたヘリMi-14の代替機として主に必要としているようだ。
お察しのとおり、ロシアが2022年2月下旬にウクライナへの戦争を拡大させた際、ウクライナ海軍の捜索・救助用ヘリコプターは3機だった。ソ連時代に製造されたMi-14は黒海西部に位置するウクライナの戦略港オデッサを拠点としていた。
Sea King from the UK has arrived in its new kingdom near the Black Sea in Ukraine!
— Oleksii Reznikov (@oleksiireznikov) January 21, 2023
It is a strong reinforcement for the Ukrainian Navy. Our cooperation will continue to increase.
Thank you to @BWallaceMP
Together, we will secure the seas and lands across all of Europe! pic.twitter.com/Qf4mF2vp8L
ウクライナ海軍副司令官でMi-14のパイロットであるイホル・ベダジー大佐はスホーイを回避しようとしたが失敗した。スホーイから発射されたR-73赤外線誘導ミサイルがヘリを直撃し、ベダジーとおそらく他の乗員は死亡した。
この撃墜により、ウクライナ海軍は運用可能な救助ヘリを失ったようだ。それ以来、ウクライナのMi-14が飛行しているところをとらえた写真はない。
11カ月にわたる戦争でウクライナ海軍の大型艦は水陸両用の揚陸艦「ユーリ・オレフィレンコ」1隻だけとなった。
だが大型艦がなくても、艦隊は戦っている。ドニプロ川を守る巡視船の船隊は増え続けている。海軍の特殊作戦部隊は複合艇に乗ってキンバーン半島やクリミア南部にあるロシアの陣地を急襲している。海軍の攻撃ドローンはロシア海軍の黒海の停泊地を襲っている。そして、艦隊の海兵旅団はウクライナ南部で陸軍といっしょに戦っている。
ウクライナ海軍は現在も戦争の真っ只中にいる。ウクライナ海軍の船員、奇襲部隊、海兵隊員は時折、救助を必要とするだろう。その任務は今、英国供与のシーキング3機が担っている。
(forbes.com 原文)