将来は月面のガソリンスタンドで燃料補給も?
せりか:先ほど、Pale Blueの水エンジンを搭載した衛星がこれからどんどん打ち上がっていくとおっしゃっていましたが、今後はどんなことに挑戦していきたいですか。奥原さん:私たちPale Blueは「宇宙のモビリティインフラ」を、水を中心として作っていきたいというビジョンがあります。このビジョンの達成に向けて、大型の案件を受注できるように、水エンジンの量産体制の構築を進めています。
これまでは手で持てるサイズのキューブサット衛星や50kg級の衛星をターゲットにしてきましたが、いま需要が飛躍的に伸びている100kg級の衛星やそれ以上の規模の衛星にも搭載できる水エンジンの研究開発にも取り組む予定です。
せりか:水が推進剤になるなら、月面で燃料補給ができるようになるかもしれませんね!
(c)小山宙哉/講談社
奥原さん:そうですね。それが水を使うメリットで、夢が広がるところです!将来的には宇宙のガソリンスタンドを作って燃料を補給できるようになれば、衛星が深宇宙と中継地を行き来しながら探査できるようになるかもしれません。
Pale Blueという社名は、NASAの太陽系探査機「ボイジャー1号」が撮影した淡い青色の地球の写真「Pale Blue Dot」に由来していて、地球周回だけでなく、より壮大な規模で研究開発の新しい産業構造を生み出したいという思いを込めているんですよ。
ボイジャー1号が1990年に地球から約60億km離れた地点から撮影した写真。右中央に見える小さな点が地球 (c)NASA
せりか:ビジョンにぴったりな素敵な社名ですね。衛星の燃料を宇宙で補給できれば、まだ人類が到達したことがない深宇宙を目指せるかもしれませんね。ありがとうございました!
せりか宇宙飛行士との対談企画第15弾は、Pale Blueの奥原えみりさんにご登場いただき、水エンジンや研究開発から生まれた技術の社会実装について聞きました。
次回は、軌道上の衛星向け燃料補給サービスを開発するOrbit FabのCEO、Daniel Faberさんに市場の動向や今後の展望をうかがいます。お楽しみに。