飲酒運転を防ぐアルコール・インターロック装置の効果、命を救い人生を変える

運転前、アルコール・インターロック装置に息を吹き込む(Getty Images)

欧州のある新しい短編映画が、飲酒運転防止に役立つアルコール・インターロック装置(呼気中にアルコールが検出された場合エンジンがかからないようにする装置)が社会そして個人にどのようなメリットをもたらすかを取り上げている。この装置がいかに人の命を救い、使う人の人生を変えるかを描いている。


映画では、ベルギーのアルコール・インターロック・リハビリテーション・プログラムに参加した2人の人物が、この装置の使用がアルコールとの関係がどのように変化したか、また飲酒時に運転を止めるのにどのように役立ったかをカメラに向かって語っている。

英語字幕つきのフランス語によるこの5分の短編映画は、ブリュッセルに拠点を置く独立非営利団体 「欧州運輸安全委員会(ETSC)」によって今月初めに公開された。

ETSCのアントニオ・アベノーソ事務局長は声明で「アルコール・インターロック装置は、飲酒運転による交通事故死という悲劇をなくすのに役立ちます」と語る。

アベノーソは「そしてこの映画では、この装置を使用する人々が、どのようにして生活をコントロールし、仕事を続け、家族関係を維持することができるかを実際に垣間見ることができるのです」とつけ加える。「ベルギーで行われているように心理カウンセリング、モニタリング、フィードバックと組み合わせれば、アルコール・インターロックは命を救うだけでなく、それを使う人の人生も変えてしまうのです」

ETSCは、欧州の交通事故死の約4分の1は飲酒運転が原因であると発表している。

アルコール・インターロック装置が装着されている車両の場合、クルマのイグニッション装置に接続されたユニットに、運転前に息を吹き込むことが要求される。検査結果が「陽性」、つまり血中アルコール濃度(BAC)が所定の値以上である場合には、自動車を始動させることはできない。

2022年7月以降、EU域内のすべての新型車には、アルコール・インターロック装置を装着可能にすることが義務づけられている。ETSCによると、オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、リトアニア、ポーランド、スウェーデンなど欧州のいくつかの国では、有罪判決を受けた飲酒運転者は運転禁止ではなくアルコール・インターロックを選択することができる。
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翻訳=酒匂寛

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