食&酒

2023.01.29 19:30

ナパの特級畑ト・カロンが生み出すマジカルなワイン

トカロン・ヴィンヤード・カンパニー

最後に紹介したいのが、この畑から唯一無二の個性を表現するカベルネを造り出すために2016年に設立されたトカロン・ヴィンヤード・カンパニーだ。醸造責任者として迎えられた、ナパの著名な醸造家アンディ・エリクソン氏は、「ト・カロンから生まれるワインは信じられないほどタンニンが柔らかで、焦点がくっきりあっていて、素晴らしく品質を表現する」と言う。

To Kalon Vineyard Co.

「Highest Beauty」とは、最高に美しいものを意味するト・カロンのことであるが、この名がつけられたワインは、エリクソン氏が厳選したト・カロンの区画から収穫したカベルネ・ソーヴィニョン100%で造られ、その年の、ト・カロンの表情をピュアに表現するワインだ。

森ソムリエは、「ダークチェリーなどフレッシュな黒系果実、ローズマリーなどハーブ、黒鉛といった様々な香りがあり、集中度が高く、酸の力強さ、タンニンのレベルの高さが特徴的。スケールの大きさが感じられるワイン」とコメント。

「Eliza’s」は、樹齢20年のカベルネ・フランが主体となったワインで、ブルーベリーなどの爽やかな果実、エレガントさやヴァイオレットやラベンダーの華やかさがある。


コンラッド東京で行われたセミナーにて。左から、エグゼクティブ・ソムリエの森覚氏、ナパ・ヴァレー公認エデュケーターの山本香奈氏、コンステレーション・ブランズのブレンダン・ダコスタ氏

ト・カロンのどの区画のブドウをそれぞれの銘柄に用いるかは、毎年、三ブランドの醸造家が集まり相談して決めるという。ワインは、ブドウが育つ場所とワインを造る人の想いとビジョンが掛け合わされ、唯一無二のものが出来上がる。三人の醸造家の哲学が反映された、同じ土地から生まれる三者三様のワインを味わい、そのことを改めて感じた。彩り豊かなナパワインの魅力がわかる体験だった。

島 悠里の「ブドウ一粒に込められた思い~グローバル・ワイン講座」
連載記事一覧はこちら>>

文・写真=島 悠里

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事