12月の晴れた日、筆者はロバート・モンダヴィ・ワイナリーの栽培責任者のブレイク・ウッド氏と醸造責任者のサリー・ジョンソン=ブラム氏の案内で、実際にこの畑に足を踏み入れた。
これまでの歴史を引き継いだ2人。醸造所もリノベーション中で、これからの進化にも期待したい。
ト・カロンは、一見フラットに見えるが、歩いてみると、山のある西の沖積扇状地から、東方向になだらかな斜面になり、ヴァレーフロアーに続いている。広い畑を車でまわっていると、場所により、土壌、地形、微小気候、日照、高度や方角など、異なる条件が重なり合い、区画により多様な特徴を持ったワインが生まれることを実感する。
「沖積扇状地は、山とヴァレーフロアーの合間にあり、砂利まじりで水はけがよく、また適度に肥沃な場所で、ブドウ栽培によいとされています。これに比べてヴァレーフロアーは、より肥沃な粘土の土壌になり、ここでは果実味が豊かでタンニンが柔らかいワインができます」とウッド氏は説明する。
現在ト・カロンの畑はオーガニック農法が採られ、最近、認証も取得した。畑をまわっていると、栽培方法もその時代を反映し、場所によって違いが見られ、ナパでの栽培の変遷を辿れるのも面白い。
ト・カロンの畑のモナストリー・ブロックには古木が植わっている。
ロバート・モンダヴィ・ワイナリー
ロバート・モンダヴィ・ワイナリーの「To Kalon Vineyard Cabernet Sauvignon」は、モナストリー・ブロックという区画の果実のみを使用して造られる、カベルネ・ソーヴィニョンを主体とした赤ワインだ。この区画は、上述の沖積扇状地にあり、良質なワインを生み出すと言われている。前述のマスター・オブ・ワインのデ・ヴィア氏は、モンダヴィのワインを「ナパのクラシック」と表現し、「骨格がしっかりしているが、酸が高く、エレガンスが備わっている」と言う。