1995年、2000年、2005年、2010年、2015年に続き6回目となる今回の調査では、調査回答者の9割以上が母親であること、また経年比較の観点から、1歳6か月~6歳(就学前)の子どもを持つ母親(※)を分析対象として設定。リサーチの結果からは、子育ての意識や実態が27年間でどのように変化したのかが明らかになった。
まず、子育て観に関する質問では、「子どもが3歳くらいまでは母親がいつも一緒にいたほうがいい」と回答した割合が2005年の6割から徐々に減少。2022年では4割程度になった。一方で、「母親がいつも一緒でなくても、愛情をもって育てればいい」と答えた人の割合は増加し、2022年には55.1%に。3歳までは母親が家庭で子育てをした方がよいという、いわゆる3歳児神話を信じる割合が減少していた。
3歳児神話について
さらに、子育てと自分の生き方のバランスについて聞いたところ、2005年から2015年にかけて「子どものためには、自分が我慢するのはしかたない」と回答した割合は37%から47.3%へと増えていたものの、2022年には減少。同年では、「子育ても大事だが、自分の生き方も大切にしたい」が6割超を占め、「我慢するのはしかたない」派が4割を切った。
就業状況別に見ると、専業主婦の「自分の生き方も大切にしたい」の回答増加率が2015年(44.5%)から2022年(60.2%)に15pt以上アップし、最大に。母親の就業形態による回答の差は、縮まった。
子育てと自分の生き方について
子育てへの感情についての質問では、否定的な感情が増加傾向に。肯定的感情の比率はいずれも約7割以上と高かったものの、いずれも前回から5pt以上減少。他方で否定的な感情は増加し、中でも働く母親については育児負担感や不安感を示す「子どもを育てるためにがまんばかりしている」「子どもがわずらわしくていらいらしてしまう」「子どものことでどうしたらよいかわからない」の回答率上昇が顕著だった。
子育てへの否定的な感情(母親就業別 15・22年比較)
同研究所では、「子育て観が変化した背景には、過去に比べて女性の大学進学率や就業率が上昇しており、選択肢が広がるなかで、自分らしい生き方や働き方を求めていることがあるのではないか」と推察。母親の育児負担感や不安感の増加については、新型コロナウイルスの流行に伴い、友人・知人、祖父母と会う機会が減り、子育てに関する情報を得にくくなったことや、子どもの面倒をみてくれる人が限られていることを要因にあげた。
その上で今後は核家族中心の子育てではなく、園や行政等のソーシャルサポートを含め、社会全体で『チーム育児』を推し進めていくことが必要だと考察した。
※分析対象者である母親の属性:平均年齢36.1歳、有職率44.6%、保育園の就園率40.6%、四年制大学卒業者43.9%
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